内容説明
江戸庶民のユーモア感覚はするどく人間的だ。それは彼らがつくり出した小噺が証明している。軽妙な、さりげない言葉のなかに、彼らの姿や心が見えるようである。その機智や着想は十分に現代に通じるものがある。居丈高な人間へのふっと力が抜ける反撃、強者と弱者がたちまち入れ替わるやりとりなど、怒りや悲しみをゆたかな笑いにつつみこんだ、町衆のゆたかな心をつづった江戸の小噺から精選、現代訳をした本書は、「古典落語」の原点であり、日本人の笑いの宝庫である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Haru
1
一話一ネタといった感じのごくごく短い小噺集です。そうきたか!や、あぁやっぱりなど、オチを予測しながら読んで楽しみました。2017/11/15
figaro
0
江戸の庶民の生々しい感覚に触れると、失われた言葉が多いことに気づかされる。人の不条理がおかしいのだけど、自分にもその不条理なところがあるからおかしいのですね。迷信だと思いながらも、半分はそれを信じていたり、治安がいいに決まっているのに、泥棒の心理に同情したり、生きていてほしいのに、人の死期を避けられないものして、葬式の用意をする。この本にでてくる小咄は、単純には割り切れない人のおかしさ(深さ)をありありと描いていると思います。2015/02/06
subuta
0
ほとんどの噺が1ページ以内に収まっている。短時間でいくつも読めるので、得した気分になれた。2018/09/09