内容説明
「ヘンゼルとグレーテル」「ハンプティ・ダンプティ」「ゼペット」…夢見なおされた物語たち。
著者等紹介
ブラウン,レベッカ[ブラウン,レベッカ] [Brown,Rebecca]
1956年ワシントン州生まれ、シアトル在住。作家。『体の贈り物』でラムダ文学賞、ボストン書評家賞、太平洋岸北西地区書店連合賞受賞
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京生まれ。米文学者、翻訳家。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクスン(上・下)』(トマス・ピンチョン著、新潮社)で日本翻訳文化賞、2017年には早稲田大学坪内逍遥大賞を受賞。文芸誌『MONKEY』の責任編集も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みゆき
18
三匹の子ぶた、赤ずきんちゃん、ピノキオ等を作り直した話、そのほか計17話。おとぎ話の生き方をお手本にしてもその通りにはいかないんだよ、とその教訓を覆す。でも本当にそれでいいの?それが正しいの?と、自問する。心の奥底にあるのは、静かな怒り、苛立ち、揺らぎ、救いを求める叫び。社会の枠の外に出された人々の生きづらさが伝わってきた。名訳による静謐な世界が広がっていく。2025/08/12
練りようかん
13
はじめの『三匹の子豚』と『赤ずきんちゃん』の語り直しがブラック。『ヘンゼルとグレーテル』もだが、もともとあった残酷さをわかりやすい攻撃者の登場で掻き消してしまう危うい構造だったと再認識。各編心に留める文章があり、その殆どが「デビーとアンジ」を思い出してリンクしてると感じた。そのくらい胸が軋む編だった。いいことの再分配はないと絶望してる主人公も、もっと辛い友人と立場を交換する気は毛頭ない。表題作の散文も先の編があるから増幅して感じられるものがあった。「ゼぺット」も。柴田氏の信頼感を高める妙味の短篇集だった。2025/01/30
本の虫
6
あまりにも切実に響きすぎて読むのがくるしいほどだった。『デビーとアンジ』、きっと一生覚えているおはなしだと思う。こういうことってほんとうに世界にある。ほんとうにあるんだ。2024/12/06
パ
5
ジャケ読み ずーんとした圧力というか重力を常に感じる2024/12/24
zoumurasan
5
昔話を語り直した本とあった、わかるなぁと思う描写も多かったけども、なんか痛かったり怖かったり怒ってたりしていて読んでいたらだんだん辛くなってきた。モチーフになってた昔話もわかるものもあればよくわからないのもあり。文化の違いというか私がよく知らないからわからなかったものや気持ちもありそうだなとも思う。正直解説が欲しい。それとも解説したところで、と言うような本なのかな?たまにノートに書き留めたくなるような言葉もあったりして全然わからないってわけでも無かったのだった。2024/12/21