内容説明
人は両親の熱望によって祝福されてこの世に生を受けます。死の床にあって絶望に対する最も効果的な薬は、家族から大切に思われていることを感じることです。生物的生命が終わっても人格的生命が残ります。死を受け入れる家族や親しい友人・知人には「心残り」の感情があり、遠く隔たっていても誰よりも近くにいると感じることが出来るのです。一生を貫く仕事を持ち、人生の喜びと生きる目的を果たした後、老年期には老いを受容し死の自覚が訪れます。いい人生であったと満足できると幸福に人生を終えることができます。この世に生を受けたことに感謝できます。人生とは長さではなく質で評価されます。「長生きをした」と思えるような生き方はただ一つ、人生を生き尽くすことです。人生はいつまでもしがみつくようなものではなく、命とはどんな犠牲を払ってでもすがるものではありません。財産や地位、名誉に対する執着を捨て、生きることへの愛着を徐々に減らしていくことが必要です。享楽的生活や美的実存はある時点でもう十分だと感じる段階に達します。自分が存在しなくなる恐怖がありますが、死ぬことも人生に課せられた義務の一つです。勇敢に死ぬことが必要であり、従容として死出の旅に赴かなくてはなりません。
目次
キューブラー・ロスと死ぬ瞬間
エリクソンと人間の生涯発達段階
マズローと人間の欲求階層
般若心経と死の受容
ハイデガーと死への存在
セネカと死ぬ時に後悔しない方法
セネカと人生の短さについて
シェリー・ケーガンと死とは何か
ショーペンハウエルと生の苦悩
フロイトと死の欲動〔ほか〕
著者等紹介
泉義雄[イズミヨシオ]
昭和53年3月慶応義塾大学医学部卒業(57回生)、慶応義塾大学病院内科勤務。平成29年4月小田原小林病院非常勤医師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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