内容説明
道長の要請によって書かれたとされる紫式部日記。中宮彰子の出産や、華やかな行事にあふれた宮廷を描写しているようにも思える日記だが、著者はそこにたぐいまれな人間観察の筆致を見る。たとえば皇子誕生の祝いの場で、一見くったくなくたわむれているようであっても心中穏やかでない人たちを描く紫式部の洞察力が見逃すことはなく、馬鹿な男、立派な男をどのようなことで判断しているかも教えてくれる。また、有名な清少納言への批評は、彰子の周囲はこうあってはならぬという道長への密かな具申と解釈すべきと考え、単なる個人的な評価だという考えを退ける。
読み進めるうちに、紫式部は女性たちにどう生きることを望んだのかが私たちにわかってくる。日記文学の解読を通して、現代にも通じる女性の生き方を指南する画期的な書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
魚京童!
7
源氏物語の作者は藤原為時で、細かな所を娘の式部に書かせたのだとの説2015/07/27
MIO
1
光る君へから。色々な人が色々に考えられるものなのだなあ。モナリザの絵に「嘘は全くいやしいもの…神性から優美さを失う」光源氏が理想的だと思われていたり、情事とドンファンだけが強調されていたりしてたとは知らず。嘘はよくないという立場で読むというのが新鮮。夫婦で読み解くというのも面白い。紫式部は哲学家。主観的普遍性!日本人の愛の心とものの哀れ…上野栄子。古典の日宣言「風土と歴史に根ざしながら…人間性洞察の力と表現の美しさに…想いを深くし、心を豊かにしてくれる…魂を揺さぶり、人間とは生きるとは何か…立ち返らせる」2024/03/10
はちめ
1
専門性と素人性、フィクションとノンフィクションがあいまった面白い造りになっています。夫婦合作というのも珍しい。源氏物語の読みにはとても参考になります。2015/08/08
お抹茶
0
『紫式部日記』を手掛かりに紫式部の人となりを読み解く。父親の藤原為時の学識や識見は紫式部の物語執筆に不可欠だった。教養はあったが,自己顕示を避け,自分の姿や学識が人目に付かないようにした。道長から歌を詠めと言われても,あえて詠まなかった。和泉式部は文才があるものの歌はとびぬけて優れてはいない,赤染衛門も本人が思っているほどたいした歌人ではない,清少納言は利口ぶっているが不行き届きな点がたくさんある,と評す。宇治十帖は「虚」の物語で,それを象徴するのが浮舟の周辺。2017/11/19
-
- 電子書籍
- トップはオレだ!! 第6巻 日本一のセ…
-
- 和書
- ヨーガの科学的評価