出版社内容情報
『すごい実験』『すごい宇宙講義』の多田将、最新刊。
わかりやすい解説で人気の素粒子物理学者が今回取り上げるテーマは、ちゃんと理解しようとするとじつはかなり難しい「放射線」。
どうしても必要となる物理学の基礎知識から、順を追って、丁寧に解説していきます。
さまざまな数値から、自分の頭で定量的に考えられるようになるための、直球の物理学講座【全10回】。
「異色のニュートリノ研究者が論理的、定量的、かつ饒舌に語る! デマ拡散の本質にも迫る、ネット連載待望の書籍化」早野龍五氏(東大名誉教授)
なぜ、いまさら「放射線」なのか
第1章 原子と原子核の中身について考えよう
第2章 どうやって放射線が出てくるのかについて考えよう
第3章 放射能と半減期について考えよう
第4章 物質との反応について考えよう
第5章 人体への影響について考えよう
第6章 身を守る方法について考えよう
第7章 測り方について考えよう
第8章 過去の被曝事故について考えよう
第9章 利用方法について考えよう
第10章 それぞれの放射性物質について考えよう
「ゼロリスク」を叫ぶ無意味さ
書籍版の出版にあたって
周期表
附録1 物理量まとめ
附録2 福島第一原子力発電所事故関連の調査結果
附録3 更に学びたい方のために
索引
多田将[タダ ショウ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
honyomuhito
62
放射能と放射線の違いもわからない人間が、感情的でなく政治背景などに左右されずに、この手の話を知りたいと思った時に、難しくなく原子や放射線の仕組み、人体への影響とその取り扱いかたを知るのに適した良い本だ。冒頭で著者が述べている。デマや嘘に踊らされずに正しく物事を恐れるためには知識が必要である。そもそも恐れているものはなんなのか、それが起きる理屈は。付き合っていく余地があるのか、あるならばどのようにするのが最善なのか。https://chirakattahondana.com/放射線について考えよう。/2018/12/02
かんやん
36
論理的に考えること、そして定量的に考えることの大切さを教わった。そのためには知識が前提となるから、学習しなければならない(放射能だけに限らないし、サイエンスに限った話でもないだろう)。ノートを取りつつ、計算しながら読むのが本当だろうが、web版なのでついつい先へ先へと読み進めてしまったのが反省点。恥ずかしながら、放射性崩壊と核分裂が自分の中でごっちゃになっていた。情報量が多くてクラクラするが、この分野はもうちょっと調べてゆきたい。しかし、自分にはやっぱり紙の本が向いていると痛感してしまった。2020/05/10
Ayumi Katayama
26
以前にチェルノブイリの原発事故に関する本を読んだ。近くの核施設研究所所長はチェルノブイリ原発の事故であることがわかったとき家族に電話してこう言ったという。「窓を閉めろ。手を洗え。体も洗え。髪も洗え。外の洗濯物は中に入れて、もう一度洗え。部屋の壁、床全て拭け。」 そんなことで防げるのか。そのことに驚いた。そして、自分が如何に放射線に対して無知であるのか、知らないということがどれほど恐ろしいのか、改めて知った。ここに書かれてある内容は少し難しい。だけれども、必要以上に怯えず、そして過信せずが繰り返し語られる。2019/05/02
ま
21
そもそも世の中に情報が溢れすぎてるんだろうな。人生の中で考えるべきことが多すぎる。だからついつい「ゼロか100か」の極端な二元論に陥る。わかりやすいものに飛びついてしまう。でもそんな我々を著者は窘める。リスクは論理的、定量的に吟味すべし。多田先生の素敵な正義感がわかる本。除染にはサッサ。2021/07/30
zoe
17
KEKとJ-PARCのオープンハウスに立て続けて行った際に購入。帯に書かれているように何かの時にさっと手に取って確認するのに良い本だと思います。最大限に訴えたいことはリスクゼロということはあり得ないだと思いました。廃病院後に放射性物質が放置され、そこに盗みに入った人間が拡散してしまった事件など、少々驚きます。リスクゼロって言って何も考えない期間を作ると、こんな事件が起こったり、何かを代表しておかしなことを言ったりするようになるのだろうと思います。専門家が我々のような市民に丁寧に解説下さるのが有難いです。2023/10/22