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出版社内容情報
ルネサンス期の天才建築家・アルベルティが遺した痛烈な諷刺譚,初の邦訳。天界を追放されたモムスは,逃げ込んだ人間界で狡智と弁舌に磨きをかけた。次々に引き起こす事件の果てに彼が辿る運命は…。初期ルネサンス期を代表する万能の天才・アルベルティ。とりわけ建築分野で名高い彼は,ギリシャ・ローマの神話に仮託しつつ現実の権力を鋭く風刺した文学作品を遺していた。
15世紀半ばにほぼ完成しながら,これまで紹介されなかったラテン語作品を日本で初めて翻訳。訳者は,建築史研究の碩学・福田晴虔博士(九州大学名誉教授)。深い学識に裏打ちされた訳注と解題は,数世紀の時を超えて,原作に新たな輝きを与える。アルベルティの深い人間洞察とレトリックに満ちた本作は,読書子必読の好著。
緒 言 ・・・・・3
第一書 ・・・・・11
第二書 ・・・・・71
第三書 ・・・・・139
第四書 ・・・・・191
解 題 ・・・・・245
付録(「食間談話集」からの抄録) ・・・・・279
あとがき
レオン・バッティスタ・アルベルティ[レオン バッティスタ アルベルティ]
原著
福田 晴虔[フクダ セイケン]
翻訳
目次
緒言
第1書
第2書
第3書
第4書
解題
付録(「食間談話集」からの抄録)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kthyk
19
ルネツサンスの万能人と言えばレオナルドとミケランジェロだが、アルベルティこそ相応しい。彼はしかしメディチ家お抱えのヴァザーリーによれば単なるディレッタント。ダンテに似てフィレンツェを追われた家系に生まれ二十歳の「家族論」で新たな時代の生き方を書いた。この書は名著「建築論」と同時期、天上を追われた神モムスが語る君主論。いや、矛盾と不条理に富む文学だ。内容はその後の理性主義を超える人間世界のポイント。建築は劇場と同様、自体が代わるのではなく、それにまつわる意味が変わる。こんなことは凡人の建築論では書かれない。2023/01/26