出版社内容情報
1921(大正10)年――
雑誌『改造』の求めで連載を起こすも、
関東大震災下の「甘粕事件」により、未完で遺された傑作。
「陛下に弓をひいた謀叛人」西郷南洲に肩入れしながら、
未来の陸軍元帥を志す一人の腕白少年が、
日清・日露の戦役にはさまれた「坂の上の雲」の時代を舞台に、
自由を思い、権威に逆らい、生を拡充してゆく。
日本自伝文学の三指に数えられる、
ビルドゥングスロマンの色濃い青春勉強の記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
55
堺利彦、幸徳秋水、山川均、荒畑寒村などと共に時代に抗い闘い続け、赤旗事件や労働運動を経てフランスへと密入国、幾度もの投獄の苦難にも更なる想いを燃やしながら、甘粕事件で志半ばにアナキストとしての生涯を閉じた大杉栄。自由恋愛を掲げ、神近市子に刺されて重傷を負った日影茶屋事件を始め女性問題を中心に語られることが多く、大杉自身の本当の軸を知りたくてまずは自叙伝を読んでみた。関連本や伊藤野枝サイドからのアプローチで捉えていたこれまでの大杉の人物像に大きな変化はなかったが、(⇒)2023/09/28
ゆたか
3
無政府主義者も人である。ただし彼は、様々なエピソードを興味を惹かせるように著述するのに長けているようだ。90年ほど前に書かれた文章だが、今読んでも文体に古臭さを感じない。2012/05/17
ナオコ
3
「社会主義のアナキスト」と聞いて身構える人も、まず読んでみてほしい。やんちゃな少年時代から奇妙な三角関係まで、波乱万丈なエピソードが面白い。2012/03/31
ひい
2
大杉栄は赤旗事件からの知識しかなかったので、彼が幼年学校に行き、子供の頃からいろいろな士官や下士官と付き合いがあったのが意外だった。書かれた大正時代に於いても、同性の恋人がいない淋しさ、がしれっと出てくるのが興味深い。 そして、彼の性別問わない無自覚な人たらしが行間からにじみ出ていて、そりゃ、刺されるわと納得する。2020/08/30
ノブ・グシオン
2
政府が自分の商売の邪魔をするから、金の無心に来た 自分はこういった人物には心は動かない事がよくわかった2017/07/19
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- 和書
- ポム・プリゾニエール