感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いやしの本棚
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ひとつひとつの言葉はきれいで、透明、なのかもしれない。でも、わたしはこの詩を、なかなか飲み下せない。造本は平出隆によるもので、函のざらっとした手触り、表紙の硬さ、光をはね返す質感が、内容を伝える。うまく説明できないので、好きだとしか言えない。「輪郭というものが/おしなべて悲哀によって張りつめているのは/なぜか。/なぜ、はかなさはいつも/光あるものと差し交わそうとするのか。」―「作品Ⅰ」より。2019/02/18
Cell 44
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「溺れかかった星のように/大気に透けるばかりの/緑の層を漾って/わたし自身である/はずだったものとずれていくわたしの/内実は、ただ/苦悩に別れを告げることの苦痛。」(「草のひと飛び、あるいは親和力について」)詩篇であるとともに詩論であるように書かれていると思った。これは、またいずれ読み返してみたい。2015/12/23