内容説明
多細胞生物である人体のしくみは、細胞が直接外界と物質のやりとりをする単細胞生物とは大きく異なります。60兆個ともいわれる人体の細胞。それらの細胞は集団をつくって臓器や器官を形成し、人体の機能を分担しています。そのすべての細胞に栄養素や酸素を届け、不要になった老廃物を運びさるのが血液とリンパ液であり、そしてその流れをつくるのが循環器です。生きている限り絶えることのないダイナミックな循環のしくみを、その流れに乗って探検してみましょう。
目次
循環器は体の流通システム
肺循環と体循環
心臓の構造
心臓に出入りする血管と心臓の弁
心臓に収縮を起こす刺激伝導系
心臓の拍動と循環のコントロール
血管の種類と構造
動脈の特徴と頭部の動脈
上半身に分布する動脈
腹部と下肢に分布する動脈〔ほか〕
著者等紹介
佐藤達夫[サトウタツオ]
東京医科歯科大学名誉教授・医学博士
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みーなんきー
20
このシリーズはすごい。人体の解剖された本物の写真を使い臓器を説明している。心臓の音が聞こえるのは、どこからなのか?肌を傷つけ出血したらどうすべきなのか?著者が専門的な医師であることがよくわかる。医学に興味を持つ人に期待を裏切らない本です。2018/03/23
アルカリオン
3
p30 リンパ管の構造の図で、弁の形状がよくわかった▼リンパ系は「復路」だけであり、全身に向かう「往路」はない。2019/02/16
アルカリオン
2
心臓は3層の心膜で覆われている。内側から、臓側心膜、壁側心膜、線維性心膜。臓側心膜と壁側心膜は2枚の膜というより1枚の袋になっていて、袋の中には心臓の動きをスムーズにするための漿液が入っている。漿液が入っている空間を心膜腔と呼ぶ。(p8)2019/02/10
アルカリオン
2
写真の多くはおそらく数年前に物議をかもしたリアル人体標本のもの。当時の論争は脇に置いておくとして、本書は医療系の学生にとって非常に有益な資料だ。色々な解剖学の本で散々イラストを見てきた部位の「本物」を見ると、「腑に落ちる」感覚があった。また、血管だけで人体や臓器の輪郭が分かるようになっている図もいくつか掲載されており、衝撃を受けると同時に血管の走行について得心した。2018/10/27