出版社内容情報
《内容》 第1章 在宅介護のポイント: 痴呆性老人にとって住み慣れた環境で暮らすことは大変意味のあることです。また、本人に合わせた個別的な対応が出来るという点でも、在宅介護は痴呆性老人に適しています。 しかし、在宅で痴呆性老人を介護する苦労は並大抵ではありません。病院や施設では専門家がチームを組んで行っていることを一人でこなさなければならないのです。 痴呆性老人にとっても、また介護者にとっても暮らしやすい環境をつくるためにこの章では在宅で介護をするために予め心得ておきたいポイントをあげ、また、介護しやすい住環境とはどのようなものなのか、さらに目標とすべき住環境についても述べています。第2章 安心感を与える環境: 介護者が目指すべき最も重要な目標の1つは、患者を落ち着かせ、安心感を与える住環境づくりです。 家庭内の情緒的な雰囲気は非常に大切です。今回の調査では、どのようなことが患者を動揺させているのか、また、患者を落ち着かせ、家庭内の緊張を避けるためにどのような方法を使っているなど尋ねました。 本章では、まず患者を動揺させる原因となっている事柄を挙げ、そのあとに落ち着かせるための方法を示しました。第3章 安全で支援的な環境: 安全な環境を整えること、これが在宅介護における最も重要な目標です。 痴呆性老人の記憶力や判断力の低下、肉体的な衰えは彼らの安全に関わる問題です。介護者との面談を通じて、住居のほとんどすべての場所に保安上の問題があることがわかりました。住居内のすべての場所を改造・改善する必要はありませんが、すべての場所をチェックし、安全かどうかの評価をすることは必要と思われます。 第3章では、安全で介護しやすい住環境をつくるために、介護者が挙げた主要なニーズや関心事について、また、そうした便宜を図るために行った住宅の改造について記述します。住宅内の空間を上手に使うためのさまざまなアイディア、そして転居を考える際のチェックポイントについても述べています。第4章 活動できる環境: 在宅介護の3つめの目標は、ともに暮らす痴呆性老人に適切な活動の機会を与えることです。 私達の住まいには多くの危険が潜んでいます。その一方で、痴呆性老人に満足感を与え、本人に残された能力をできるかぎり維持し、自立した生活が送れるように支援するための側面もあります。 痴呆の進行過程で、老人に満足感を与えたり刺激を与えたりするための有効な活動を見つけだすことは大変難しいことだと思います。しかし、疎外感は痴呆性老人を不安にさせ、あるいは苛立たせ、また、痴呆の進行を早めます。 適度な活動を促す環境の整備は介護者にとっても安らぎの時間を手に入れる最良の方法といえます。第5章 住居の安全性の検討: 痴呆性老人のように、新しい環境や慣れない環境に混乱しやすい人にとって、自宅で老年期を過ごすことは大変有意義なことだと思います。しかし、自宅には高齢者にとって危険な環境も多くあります。 最終章では、住居内の各所における安全性検討のためのチェックポイントを示します。痴呆性老人にとって現在の住環境が安全なものかどうか、チェックポイントにしたがって確認してください。すべてがこのとおりでなくてはならないというものではありません。痴呆の各段階において、本人にとって問題となることのみをチェックしてください。このリストを保管しておき、定期的に見直してください。 《目次》 第1章 在宅介護のポイント 1.在宅介護の心得 2.目標とすべき住宅環境第2章 安心感を与える環境 1.動揺の原因となるもの 2.動揺した人を落ち着かせる方法第3章 安全で支援的な環境 1.貴重なものや害のあるものを片づけること 2.浴室内の安全性 3.洗面に際しての問題 4.トイレの問題 5.台所の安全について 6.出入りに関する安全性 7.住居内のその他の問題 8.思い出しやすい環境をつくる 9.介護支援用品 10.その他の提案について 11.大規模な改装・改築 12.引っ越し 13.介護を支援する理想的な住まい第4章 活動できる環境 1.痴呆性老人に適した活動とは 2.まとめ第5章 住居の安全性の検討参考資料 関連用語解説、呆け老人をかかえる家族の会 介護用品常設展示場、救命救急センターほか
内容説明
本書は、アルツハイマー病などの痴呆症患者の在宅介護に適した住宅、介護を支援してくれる住宅にするためにはどのようにしたらよいかを、90人以上の在宅介護経験者から得られた貴重なアドバイスをもとにまとめたものです。
目次
第1章 在宅介護のポイント
第2章 安心感を与える環境
第3章 安全で支援的な環境
第4章 活動できる環境
第5章 住居の安全性の検討