出版社内容情報
銅版画の詩人。日本における銅版画の芸術性を追求し、今日の版画家たちにはかり知れない影響を与える。文・大岡信。
目次
図版
駒井哲郎が畏敬した先人たち
私の芸術
アルバムから
収録作品リスト
駒井哲郎年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fishdeleuze
22
風景、人物といったオーソドックスな作品から、時代が進むにつれ、少しずつ抽象度が増していく。パウル・クレーにも通ずるくすっと笑ってしまうようなコミカルさと、それにもかかわらず少しゾッとするペーソスとが混ざった作品や、原色を積極的に使った作品は銅版画ならではの繊細さと美しい色彩があいまってとりわけ素晴らしく、何度もページを捲った。特に『星座』シリーズが素晴らしい。ぜひ一度実物を観てみたい。それにしてもこれはどのように制作しているのだろうか。 2016/09/22
koke
6
ブレスダンの濃密な描写、ルドンの浮遊する幻、クレーの音楽的な構成をあわせ持つ版画家。大岡信の紹介もさることながら本人のエッセイがよかった。暗いユーモアをもって制作のままならなさをぼやいたり、芸術の流行からの距離を自嘲したりしながら、しかし銅版画から一歩も動かない。黒と決裂して色彩と結婚したルドンのこともよく知っていたはずだが、黒とともに野垂れ死んだブレスダンの道をあえて選んだようだ。2023/06/24