内容説明
技術畑出身の平野富二には、ほとんど自己顕示や自己肥大のかたむきがなく、日常の些事にはほとんど無関心でした。もしかすると、企業名はおろか、自分の名前ですらどうしるされてもよいと考えたのではないかとおもえることがあります。本人自身の記録でも、いつまでたっても幼名の富次郎と富二の混用が目立ちます。ただ、築地に移転してしばらくして制定された、平野のイニシャルをもちいた「二重丸にH」のマークだけは定着して、やがて本木昌造の家紋とHをあわせた独自のシンボルマークが、わが国の黎明期の金属活字製造と活字版印刷を象徴する存在となりました。
目次
序の章 ちいさな活字、おおきな船
1の章 平野ホールの歴史と所蔵品
2の章 新資料紹介
3の章 長崎に埋もれていた平野富二碑
4の章 平野富二と、いっときの敗者たち
終の章 平野富二の体臭のごとき活字
著者等紹介
片塩二朗[カタシオジロウ]
1945年、長野県飯山市うまれ。京都造形芸術大学客員教授、朗文堂取締役
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