内容説明
第二歌集。
目次
ワンダフルライフ
自律神経没後八年
ワイドショーだよ人生は
前科があるタイプのおばあちゃん
パーフェクトワールド
教訓
生活の魔術師
いざ出勤
アイム・ジャスト・ワーキング
人生
肝臓のブルース
二日酔いのエレジー
僕の歌
せめてあくびを
闘争的飲酒の夜
頻尿の季節
人生(Part2)
禁断の恋
俺もまぜてくれ
ハッピーシティー
路上より
疲れた男の話
人生(Part3)
故郷へ
今日はもう終わり
蛇足と言う奴が蛇足
待ってるんですが
エピローグ
エピローグ(Part2)
エピローグ(Part3)
著者等紹介
三田三郎[ミタサブロウ]
1990年、兵庫県生まれ。「ぱんたれい」「西瓜」同人。2018年に第一歌集『もうちょっと生きる』(風詠社)刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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qoop
7
自虐的な生活感情を「上手いこと云った」的にまとめた軽いみに留まらず、底が抜けたような不安と焦燥に行き当たる。個人のセンスが個人を越えて、日本を覆うコモンセンス、共通の認識まで貫いてしまったかのような危うさを憶えた。/5000円も横領できず牛丼を食っているこれが人生ですか/どちらかと言えば僕らを救うのは前科があるタイプのおばちゃん/君たちはまだ知らないか背負い投げされたときだけ見える景色を/訳もなく靴ひもを固く結ぶとき何を絞め殺したんだ僕は/ずっと神の救いを待ってるんですがちゃんとオーダー通ってますか2021/10/10
もくもく
4
現実への憎しみと被害感情がすごい男性の生活の短歌。つい共感してしまうけど、この被害意識に引っ張られてはいけないという気持ちもあり、共感性羞恥もある。 「爪を切る気力があればよしとする自律神経没後八年」「捨てられるための資料を作ったら怒鳴られるための電話をかける」 「公園で親子が遊ぶ日曜日(言うべきことは何ひとつない)」2022/05/28
かながわ
3
どうしても「神様へのオーダー」て単語が頭に残って読む。やろうと思ってはないのに笑いが自らに食い込む痛切さ。なにか大切なものを差し出されているようにうけとる。2022/10/29
あまはら
3
現代的で攻撃的、酒とやるせなさ…という感じ。 さらさらと読めてしまうけれど、独特の言葉の選び方に立ち止まりその作品を何度か繰り返し読んだりし、解説を読んでから読み直すとまた違った印象を受けたり。 「どちらかと言えば僕らを救うのは前科があるタイプのおばあちゃん」「擦りむいた膝をしばらく撫でている 自然にできた傷はかわいい」「なめとんかアホンダラアと心だけ暴れたあとに食う温野菜」「いざとなれば何でも巻けるこの首にとりあえず巻かれているマフラー」「夕焼けはためらい傷そっくりなのに太陽は死なずただ沈むだけ」2021/09/23
空の落下地点。
2
色んなものを擬人化して救おうとしているように感じました。海を映したい鏡に人権を与えて。私と踊ってくれている人が、私のこと鬼に見えてないか気にしながら生きようと思いました。ゴミというモチーフの多用に、自虐に見せかけた切実さが見えます。2023/01/07