内容説明
13人の女性を惨殺し、2000人以上の女性にワイセツ行為をしたアメリカ最大の性的大量殺人者A.H.デサルボを、多方面から分析。文明の落とし子ともいえる彼を通して、だれもが殺人者になるかもしれない現代の闇を照射。
目次
第1章 大量殺人への軌跡(色情狂・デサルボの誕生;少年院から軍隊へ―潔癖路線を歩む?;進駐軍のボクシングチャンピオン、そして結婚;妻の妊娠を契機に犯罪へ;軍法会議、追放;抽象的思考力ゼロ―勝田清孝との類似;スペルマに行動を支配される男;360人殺しのヘンリー・ルーカス)
第2章 大量殺人の構図(首を絞めながら射精する―インポテンツの殺人者;性犯罪のデパート、エド・ケンパーとデサルボの類似点;死体切断が社会との接点;妻、愛人にも殺人を疑われない―デサルボや篠原徳次郎;犯人は重症の母親コンプレックス;性犯罪者は愛人と娼婦が嫌い?)
第3章 逮捕から死まで(1日に6、7回妻を求めるデサルボ―エロトマニアとは;なぜ殺したか本人にも不明;やはり妻と娘が原因?;私を治療して!―ギイ・トレベールとの類似;万国共通、泣くのは妻子―犯人に優しい女;本当は妻を殺したかった;新切り裂き魔、ピーター・サトクリフ;デサルボの深層心理―娘ジュディへの殺意;脱走、そして獄死)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
22
連続殺人犯アルバート・ヘンリー・デサルボを紹介。長女の両足に障害があり、将来歩行不能にならないようにとの医師の指示の下、心を鬼にして、痛くて泣き叫ぶ長女にマッサージを続けるデサルボ。妻への愛情を拒まれ、かつ蔑視されるデサルボ。その代償が被害者に向かったというのが著者の見立て。あるまじき行為というのは当然の前提。その上で、数多の連続殺人鬼の中から、著者が彼をチョイスしたのは、想像だが、自分の中に彼を見たからでは。2022/07/16
澤水月
6
86年、鬼畜ブームよりひと周り早い。今イチ興味なかったボストン絞殺魔デサルボ中心。強姦殺人より千人単位の「寸法計り魔グリーンマン」(数百人性被害、計るだけで射精アリ)なる興味深い奴だったとは! キュルテン、佐川、サトクリフ、マンソンなど連想が飛び飛び、また酷く女性蔑視描写があり(経済理由以外の娼婦は全部色情狂なる決めつけは東電OL前だなぁ)殺人本としては正直とっちらかった印象だがこの時期に多くの殺人鬼が紹介されていたとは興味深い。資料協力はやはり最強の殺人マニア河合修治先生だった!2014/02/09
きら
1
十三人の女性を次々と殺害し、他にも無数の性的な犯罪を繰り返していた絞殺魔、デサルボについて書かれた本。エロトマニア(色情狂)であった彼は、いかなる過程を経て凶行に至ったのか? デサルボの話が中心となっているが、エド・ゲインや佐川一政、チャールズ・マンソンなどその手の世界のビッグネームのエピソードもちょくちょく挟まれた、寄り道いっぱいの研究本。30年近く前に書かれた本で、今なら明らかに問題発言として糾弾されそうな内容(女性蔑視や、犯罪者へのレッテル貼りなど)が平気で散見されるあたり、当時の世相がしのばれる。2014/03/29