感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sibafu
1
『闇の奥』の著者の中編か短編くらいの二作品を収録。『闇の奥』は語り手の描写が全体的にぼやけていて、それが霧の中を進んでいく船のようでよかったが、今回の二作はそれとはまったく違った。どちらも船を中心とした話だが、船の装備などの部位がこと細かく書かれている。さすが船乗り、と感心する。「秘密の共有者」が特に良かった。他の船から泳いで逃亡してきた罪人を船長が匿う。船長は船長で、その船に乗ったばかりで他の船員とは距離があり、船長も罪人も侵入者という点では同じ。そういう心境の表現やサスペンス性が巧い。2013/12/24
zuckermen08
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『シャドウ・ライン』では、物語が進むにつれて語り手の自意識が弱まり、成熟する様が、『秘密の共有者』では分身との一体感が効果的に書かれている印象を受けた。良作。2012/10/16