内容説明
文人や哲学者の超俗的な理想であるテナガザルは、詩人や画家がこよなく愛した対象であった。漢籍や絵画の厖大な作品を軸に、オリエンタリストが猿の生態を描き尽くし、動物学者をも凌駕した博物学的文学書。
目次
1 上代から漢代まで
2 漢代から唐末まで
3 宋・元・明代
付録 日本におけるテナガザル
本文および図版に登場したテナガザルの履歴
中国地図―テナガザルの分布の変遷
感想・レビュー
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∃.狂茶党
12
外交官にして、ミステリ作家、たくさんの外国語を操り、中国についての専門家でもある、オランダ人ファン・フーリクの動物誌。 記録文書から、詩歌、絵画に至るまで、無数の資料と、自身が飼い育ててきたテナガザルの観察をもとに編まれている。 基本的に野生動物をペットにすべきではないのだが、作者はそのことに気付きながらもあえて無視してるように思える。 樹上生活を行って、神秘のベールに包まれたサル。 厚かましいマカクザル、猴の類と異なり、高潔な獣と考えられてきた猿。 テナガザルに対する愛情に満ちた書物。 2023/04/13
いちはじめ
0
ミステリファンにはディー判事シリーズで知られる東洋通のオランダ人外交官・作家の著作。タイトル通り、テナガザルについての研究。博覧強記とはこういう人をいうのだろうな。1999/04/17