出版社内容情報
人気女形・岩井半四郎から芝居見物に誘われた小籐次は束の間の平穏を味わっていたが、思いがけず誘拐事件の賊の居所を突き止める。
佐伯 泰英[サエキ ヤスヒデ]
内容説明
当代随一の女形・五代目岩井半四郎と知り合い、再三、芝居への招きを受けていた小籐次。断り切れずついに承諾、しかも、おりょうも同道することに―。いつになく華やいだ気分の小籐次だが、平穏な日々がそうそう続くはずもなかった。久慈屋に気がかりな事態が出来。加えて、御鑓拝借の因縁に、再び火がついたのである…。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、“文庫書き下ろし時代小説”という新たなジャンルを確立する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
97
久しぶりにこのシリーズに戻りました。歌舞伎を見物することになり、さまざまな人物が見物することになって、それが江戸の「読売」に出されて有名な上にさらに有名になり、またむかしの藩の絡みで付け狙われる事になります。紙問屋の小僧が芝居がらみで失敗をしてしまい一からやり直す話も書かれていて楽しめました。2018/03/05
kazukitti
4
んーそろそろやっぱり気になり始めたのは、ライバルとか強敵の不在かなぁ。磐音は一応田沼意次いたけど剣は無双だったし、他のシリーズもそうなんだよね。やっぱ鎬を削るようなライバルか、主人公を死地に追い込むような敵がいないとシリーズ重ねる毎に主人公の剣劇シーンがテンプレになっちゃうんだよね。まー言うたら悪い意味でのテレビ時代劇というか。もっとも主な読者層がソレを望んでないからってのも実際はあるのかもね。昭和のおっさんの夢芝居時代劇というかw 市井もの人情ものではないんだよね、小藤次の武力で事件の解決してんだから。2018/04/27
Masashi Matsuba
4
歌舞伎の女形、岩井半四郎の招待を受けた小籐次とおりょう。相変わらずのぎくしゃくした両人の関係も、人を引き込む魅力も相変わらずの小籐次。益々脂が乗ってきた決定版は面白い。2017/06/21
ニッキー
3
決定版を再読。やはり江戸時代はいい。文春の最新号(2017・6)で細川元総理も江戸時代の日にへ戻れと書いている。 おりょうとの仲も順調に進展。今回はそれに歌舞伎が絡んでくる。 子供の頃、難波の歌舞伎座に付き合わされるのが嫌だった。 何を言ってるか、さっぱり分からない。異次元の空間でしたね。2017/05/12
あき
2
幼女拐かしと芝居見物、それと赤穂藩のおバカな刺客。古田さんもいい迷惑だよねえ。お礼に行くときの派手派手しさが面白い。囃子方や出入りの鳶の衆まで付いてきて、一種のイベントにしてしまう豪気さがいいなあ。大店の見栄や宣伝ってのもあるんだろうけど。芝居小屋前での物見高い江戸っ子たちの描写も楽しい。2021/08/26