内容説明
現代日本を支える重要な基幹システムの多くは、実は、郵便局の支援を受けて発展している。そしてそれは、「前島密」という、江戸・明治・大正を、国を想う“無私の情熱”で駆け抜けた一人の男の、卓越した先見性と行動力があって初めて成立した偉業だった。本書は、近代日本創成期において郵便局が果たしてきた役割と歴史に埋もれてしまった意外な事実を描いたドキュメントであり、貴重な資料写真約300点とともに、「郵便」を文化史的視点で捉えた初めての本。混迷を深める21世紀の日本。求められる国家再生のシナリオ。今、130年の事跡とその原点にあった思想が、鮮やかに選ぶべき針路を指し示す―。
目次
1 郵便文化史随想(最初の郵便取扱規則「書状ヲ出ス人ノ心得」;あて名の重要性「住所は戸番まで」 ほか)
2 日本の近代化と郵政事業(日本近代化の根幹を育成した郵便事業;運送・新聞事業と郵便)
3 前島密の半生記(幼年時代の房五郎;向学心に燃え江戸へ ほか)
座談会・郵便の父に新しい証言(元前島家書生・原利兵衛氏を囲んで)
著者等紹介
小林正義[コバヤシマサヨシ]
文化史学会会員。昭和十年島根県出雲市に生まれる。昭和三十二年同志社大学文学部卒業。同年郵政職員となる。葉山郵便局長、郵政大学校主席教官、国際花と緑の博覧会フローラドーム館長、郵務局郵便事業史編纂室長、中央郵政研修所養成部長、鳥取中央郵便局長等を歴任し、平成六年退官。退職後、平成十二年三月まで郵政省郵政研究所客員研究官等に。現在、日本思想史学会、情報通信学会、日本宗教文化史学会(理事長)等にも所属し、広島国際学院大学非常勤講師(情報メディア論担当)。神西雅美のペンネームで、エッセイも執筆
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