出版社内容情報
べトナム戦争時代、目の前で、家族を惨殺された14歳の少女は、家族の恨みを晴らすため、そして、故郷を解放するために、サイゴン政権側の要人を暗殺するテロ組織『ツバメ隊』に志願。壮絶な体験を重ね、一人前のテロリストとして成長し、目的を達成する。しかし、戦争が終わり、大人になった主人公は、戦時中に受けた拷問の肉体的後遺症、自らが殺した仇敵の遺族への思いに死ぬまで苦悩する、戦争の虚ろ、憎しみの連鎖を描く。原書はベトナム作家協会賞受賞。
あれはいつごろからだったろう。十年ほど前に私が殺した男の遺族を訪ね、彼らが今どんなふうに暮らしているかを確かめてみようと思い立ったのは。世の中には理屈では説明できないことがたくさんある。そんなことをするのが理不尽なのは百も承知だが、きっとそういうことは目に見えない力のようなものにつき動かされて実行に移してしまうものなのかもしれない。しかし私自身は、自分の中でなんとかその理由を見つけようとしていた。なぜならどんなに理不尽と思える行為にも必ず理由があるのであり、それを認めるかどうかは自分の気持ち次第だからである。・・・(冒頭より)
著者自らが、ベトナムの激戦地で多くの戦闘を体験。テレビには映し出されない戦争の内面の虚ろ、悲惨さ、憎しみの連鎖・・・人が人を殺すことをリアルにつたえています。戦争が終わっても消えない心の傷の痛みがひしひしと伝わってきます。今こそ読まなくてはいけない!伝えなくてはいけない。
内容説明
ベトナム戦争が激しさを増したころ、サイゴン政権側の要人を暗殺するテロ組織「ツバメ隊」に、14歳の少女は志願した。惨殺された兄と姉のうらみを晴らすため、そして、故郷を解放するために。―やがて戦争は終わり、大人になった彼女は戦時中の拷問による後遺症に苦しんで眠れない夜を過ごしつつ、自らが手を下した旧敵の遺族の生活を心にかける。ベトナム作家協会賞受賞作品。
著者等紹介
グエン・チー・ファン[グエンチーファン][Nguyen,Tri Huan]
1947年、ベトナム北部ハタイ省の農村に生まれる。1965年、軍隊に入隊。ベトナム戦争の激戦地であった中部の戦線で数多くの戦闘に参加した後、ベトナム人民軍傘下の新聞、雑誌の編集に従事。1979年、ベトナムの国民詩人の名を冠した国内唯一の作家養成学校、グエン・ズー作家大学(在ハノイ)に入学。同校の第一期生として創作の基礎を学んだ後、人民軍の文学専門誌「軍隊文芸」の編集員となる。現在は「軍隊文芸」誌編集長、ベトナム作家協会執行委員として活躍している
加藤栄[カトウサカエ]
1953年神奈川県生まれ。東京外国語大学インドシナ科(ベトナム語)卒業。一橋大学大学院社会学研究科単位修得、中退。現在は大東文化大学国際関係学部、東京大学教養学部の非常勤講師としてベトナム語を教えるかたわら、ベトナム文学の翻訳、紹介につとめている
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感想・レビュー
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