感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
23
輪島でかつて大流行したという文芸、段駄羅。天声人語で知って借りてみた。輪島の塗師職人に広まった理由(p.48)を読むと、長時間の座職中にセンスの良い職人たちが互いに知恵を交換し合った絵が浮かぶが、江戸で衰退したものがなぜ輪島だったのか、なぜ塗師だったのか。それはともかく日本語の仕組みをうまく活かした中七によって上五から下五への意外な展開が楽しめ、鑑賞だけでなく創作も可能な言葉の世界、衰退の一途はもったいないこと。2024/04/20
真塚なつき(マンガ以外)
1
「段駄羅」はかつて輪島の漆塗師たちの間で流行した十七字短詩型文芸であり、その由来は江戸自体の雑俳のひとつ「もじり」に求められるという。段駄羅の特徴は五七五の中七に二重意を込めて句を「折る」ところにある。ふつう和歌や俳句での懸詞がひとつの句のうちにイメージを重奏するのに対し、段駄羅では中七が上五と下五を分裂させ、その分裂の度合いが評価を決める。いわば十七字で二十四字分を詠んでしまうのである。清濁音を区別せず、異表記でも同音(類音)なら認めるなど、音声・文字双方への柔軟さを持ち、意味の攪乱を加速させる。2012/09/05
かっぱ
1
日本語のもつ面白さを堪能。輪島に伝わるなぞかけのような言葉遊び。段駄羅は「一粒で二度おいしい」。2011/07/03