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マザーツリー―母なる樹の物語

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  • サイズ A5判/ページ数 299p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784915512629
  • NDC分類 K913
  • Cコード C0093

内容説明

お話いたしましょう。これは私の身に起こった物語でございます。昔々、私が権轟山の麓に生まれてから今日までこの目で見た、さまざまな出来事の物語でございます。その昔、隻眼の世捨て人が私のそばに庵を編みました。悲しい目をした方でございました。私の前で勇敢に命を散らした若武者もおりました。船大工の辰吉も、山の少女ツキも、思えば哀しい心を抱いた人たちでした。母熊を失った子熊の哀れな鳴き声や、子を捨てた母親の嘆きの声は、今もこの耳に残っております。荒らされた山、汚された川、そして切られた木々、私の体には悲しみが刻まれているのでございます。年輪の一本、一本に…。私は、達磨岩さまに護られ、白糸川さまに育まれた、五百歳のミズナラの樹でございます。

著者等紹介

ニコル,C.W.[ニコル,C.W.][Nicol,C.W.]
1940年、英国南ウェールズ生まれ。17歳でカナダに渡り、その後、カナダ水産調査局北極生物研究所の技官として、海洋哺乳類の調査研究にあたる。67年より2年間、エチオピア帝国政府野生動物保護省の猟区主任管理官。72年よりカナダ水産調査局淡水研究所の主任技官、また環境保護局の環境問題緊急対策官として、石油、化学薬品の流出事故などの処理にあたる。80年、長野県黒姫に居を定め、95年に日本国籍を取得。執筆活動を続けるとともに、森の再生活動を実践する。2002年、「財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団法人」を設立し、理事長となる。05年、英国エリザベス女王陛下より名誉大英勲章を賜る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みやぎ

1
人の話はあるが、どちらかというとミズナラの木視点で話が進む。ちょっと平成狸合戦ぽんぽこを思い出す内容。2022/07/17

べんべん

0
見守るということの難しさ、母なるサラの樹の心の強さ、それを支える達磨岩に心打たれました。2014/07/25

くっきー

0
主人公は五百歳のミズナラの樹。自然のあり方と関わり方について考えさせられる。土地神の信仰もこういう自然な流れで各地に出来ているんだろうな。2013/06/01

かず

0
自然保護とか叫ばれてる今、本質を理解してる人ってどれくらいいるだろう。数百年前の昔、権轟山が噴火し達磨岩が生まれ、白糸川が流れサラの樹が芽吹く。その周りに人々が住み着き小さな村が出来る。そこから幾多の縁や自然の恵みを得ながら、戦国時代や世界大戦を繰り返す人々。それらを見守る自然に人は生かされていることをやさしく諭してくれました。もし可能なら無機質なコンクリートではなく、自然に囲まれて暮らしたいと思った。2012/03/06

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