内容説明
現代人の精神の渇きを選びぬかれた言葉で描き続ける今日の“シャーマン”サム・シェパードは,演劇・映画界でも今もっとも気になる〈playwright〉&〈actor〉。彼の代表作・ピュリッツァ賞受賞作「埋められた子供」と「飢えた階級の呪い」の2本を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
66
メイプルソープの評伝を読んでいて、彼の恋人、パティ・スミスが一時付き合っていたのがこの戯曲家。映画俳優でもあり、『ライトスタッフ』主演や『ブラックホークダウン』のガリソン司令官などマルチな才能を持つ彼が去年亡くなっていたのを知り、慌てて彼の代表作の戯曲集を借りる。表題作と解説を読む。戯曲という形式はあまり読まないのだが、この象徴性にいろいろ唸ってしまう。一番いいのは演劇を観ることなのだろうが。宿題の一つを終えた気持ち。あと「モーテルクロニカルズ」も目を通したい。2018/05/17
健康
0
面白い。2010/05/10
nightowl
0
劇団昴で上演の表題作は農村の世代交代を緊張感と断絶したコミュニケーションで描く。家を売るか否かは『桜の園』、変化を求めながらぐずぐずな現状維持は『三人姉妹』を思わせるアメリカ版チェーホフ「飢えた階級の呪い」との二本立て。どちらも地方の閉塞感が漂う。かなり殺伐としている。限界集落増加やバス路線廃止のニュースを知る道産子としては、雄大な自然の何処かにこうした一家が暮らしている気がする。2025/09/15
takeakisky
0
二篇。表題作は、どうも入り込めず、持て余す。象徴としても具象としても埋められた子供が多層性を産み出すほどの強さはなく、散漫な印象だけ残る。79年のピューリッツア賞。もう一本は、飢えた階級の呪い。こちらはテーマがストレートに伝わる分かりやすい芝居。拡散しきった関係が最後に凝集する。2025/09/06




