内容説明
本業は小説・戯曲で俳句は余技?小説家にして劇作家、演出家兼脚色家、“余技”の俳句は玄人はだし。ジャンルを往還する久保田万太郎の活動から考える近代文学の多面性。久保田万太郎の写生文、小説、戯曲、脚色、演出、俳句、句集、さらには芥川龍之介の小説に高浜虚子の俳句。それぞれに固有の背景と表現を読み解くことで、ジャンルの諸相とその交錯する様を明らかにする。
目次
序章 方法と構成について
第一章 久保田暮雨「春寒」―デビュー以前の万太郎と写生文
第二章 「朝顔」―万太郎と耽美派
第三章 連作『お米と十吉』と「暮れがた」―出発期の小説と戯曲
第四章 「末枯」―万太郎とノスタルジー
第五章 『道芝』―句集と作者
第六章 芥川龍之介「蜃気楼」―小説と作者
第七章 高浜虚子“神にませばまこと美はし那智の滝”―俳句と作者
第八章 「釣堀にて」―万太郎と新劇
第九章 泉鏡花「註文帳」と万太郎脚色―万太郎と新派
終章 「三の酉」と『流萬抄』―戦後の万太郎と自己表象
著者等紹介
福井拓也[フクイタクヤ]
1990年、広島生まれ。東京大学文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。東京大学大学院助教を経て、上智大学文学部国文学科助教。研究分野はジャンル論を中心とした日本近現代文学。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。