出版社内容情報
倫理という語は中国で生まれ、その思想とあわせて日本にも伝わった。私たちはいつのまにか、英語のethicsを倫理と訳すことに慣れてしまったけれど、ethicsのイメージに寄りかかっているかぎり、漢語としての「倫理」は正体をあらわしてくれない。
中国の倫理思想は、儒教によって代表される。孔子がつくりだし、孟子・荀子などが育てた儒教の倫理思想は、やがて歴代王朝の「国教」となり、中国の人間関係や社会秩序を二千年あまりにわたって強く規定した。彼らは具体的に、どのような倫理を求めたのだろうか? 人と人の正しいつながりを、どうすれば実践できると考えたのだろうか? そして何よりも、儒教の倫理思想は皆を幸せにしたと言えるのだろうか?
本書では、春秋時代に始まる儒教の倫理思想が、前漢・後漢でひとまずの完成形にいたったところまでと、南宋の朱熹(朱子)、明の王守仁(王陽明)による新たな展開に重点をおき、その理論的な歩みと、それが社会にもたらした影響についてわかりやすくお話しする。論理が整わずにおわった部分や、負の遺産と呼ぶべきものごとにも忌憚なく触れよう。中国で語られた倫理の思想を、さまざまな角度から冷静にみつめていただきたいと思う。
内容説明
孔子がつくり、孟子・荀子らが育てた倫理思想は、中国の人間関係や社会秩序を強力に規定してきた。儒教の倫理思想はどのように形成され、展開したか?その理想と現実とは?
目次
第1章 倫理を語ったのは誰か(天と人;宗族制と封建制 ほか)
第2章 儒教の倫理として何が求められたか(二つの群からなる倫理/孝―宗族内部の倫理1 ほか)
第3章 儒教の倫理は何によって表現されたか(『論語』の言葉から;礼と楽―倫理を表現する二つの手段 ほか)
第4章 儒教の倫理思想はなぜ正しいとされたか(倫理思想としての正当性と普遍性;楽天的に構えた孔子とその弟子 ほか)
第5章 儒教の倫理思想は皆の幸せをめざしたか(それは不幸の自覚から生まれた;倫理思想の理想と現実? ほか)
著者等紹介
水口拓寿[ミナクチタクジュ]
1973年生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。武蔵大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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