生類の思想―体液をめぐって

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生類の思想―体液をめぐって

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  • サイズ 46判/ページ数 288p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784910904030
  • NDC分類 114
  • Cコード C0010

内容説明

環境汚染、アレルギーの増加、日常化する暴力、子どもの商品化、奪われる睡眠時間…。私たちの心身に何が起きているのか?人を生き生きとさせないものとは何か?体液を根拠に「人間」と「環境」を根源から定義しなおし、「もれる」と「たかる」をキーワードに、世界の高速回転化と自己攻撃化にあらがう、驚くべき思考のエッセイ集。

目次

1 わずらう(体液をめぐる思考―生類の思想が編み直されるところ;慢性と急性―人文学的省察 ほか)
2 あそぶ(家庭科の哲学―「人間する」を遊ぶ;墨色と泥色の記憶―かこさとしの絵の淡い濁りについて ほか)
3 はぐくむ(農業技術への問い―ハイデガーの概念「はぐくむhegen」について;土の思想をめぐる考察―脱農本主義的なエコロジーのために ほか)
4 たべる(培養肉についての考察;食の闇について ほか)
5 まじる(「規則正しいレイプ」と地球の危機;表皮の脱領域的考察 ほか)

著者等紹介

藤原辰史[フジハラタツシ]
1976年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は農業史、環境史。「分解」と「縁食」という分析概念を用いて、自然界と人間界を同時に叙述する歴史の方法を考えている。『ナチスのキッチン』(第1回河合隼雄学芸賞)、『分解の哲学』(第41回サントリー学芸賞)ほか著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイティ

29
2026年度小林秀雄賞受賞作。専門書とエッセイのあわいのような文章に引き込まれる。印象深いのが、培養肉についての考察。畜産とは、愛情を込めて健やかに育てて出荷して換金すること、動物の生と死と自分の存在とが有機的に共存する営みだ。「食行為は、本来的に摩擦と抵抗の行為」と言う著者は、ますます陰影と摩擦が取り払われ、汚れのない人間社会の懸念を示す。視点や思考、何より静かな情熱がいつも響き、自分の既成概念をシャッフルしてくれる藤原さん。こうしたテーマを追求する数少ない専門家として、もっと著作を読んでいきたい。2026/09/26

km

4
⚫︎「食べること」と「殺すこと」を別々のものに分けることは、しばしば、現在の食事でその食材が本来どんな生きものだったのかを知らずに食べることへの批判の文脈で言及されることが多いが、そもそもは人間と人間がどうして食べ合わない社会が通常と考えられているのか、どうして人間は人間を栄養源としてではなく、別の理由で大量死させる歴史を歩んできたのか、このような問題として考えなければならない。⚫︎人体という棲家は、私たちが「環境」と呼ぶものと切れ目なく一体化している。「外」に対して、基本的に玄関も窓も開けっぱなしなので2025/11/10

KJ

2
生まれた瞬間から分解に向かい、互いに棲まい食べ合う生命の姿。『分解の哲学』でも触れられていた「容赦のない」生々しさ。人間の意識や存在も分子の揺らぎでたまたま発生しただけというのは唯識やスピノザの思想を彷彿とさせるけれど、それが生物学的目線から語られるとこんなリアルな感じになるのかなと。食べ尽くすこと、分解ではなく破壊し尽くすことの暴力性が水俣病や資本主義の搾取構造などに当てはめられていく。環境という言葉のうさん臭さは人間中心主義的な「自閉した清潔な思想」から発されていたのかなと理解。2026/07/04

belier

2
題の「生類」は石牟礼道子がよく使っていた言葉。著者は石牟礼にオマージュを捧げているが、追随者にならず挑戦者として書くと決意したという。農業史が専門の歴史学者で、歴史を「趣味の生物学と同一平面上で混在させて語る」ということをやってきたとあとがきで書いている。十分に成功しているのではなかろうか。ポピュラーサイエンス本で読んできた内容であっても、新しいものの見方が得られたような感覚になった。以前に読んだ著書では合わないかと思ったが、この本は、一般向けに書かれた文章を集めたおかげか、引き込まれるようにして読んだ。2026/06/24

オリーブ畑さん#olBQive

2
COVID-19をめぐって何か強大な力が押し寄せそうな気配がしていた2020年3月に『現代思想』に載った「「規則正しいレイプ」と地球の危機」を読んですげえ…となり、約5年後、その論考が収められた本書を見つけて購入。既存の地政学的秩序に安住し、生きものたちをつらぬく暴力を覆い隠す「環境」「環境問題」や、それらをいろどる美しいスローガンの横溢に抗する思想のあり方を探る。そのような本書の営みを前に、おんおん唸り続けながら読みました。挿画は、京都を拠点に活動するエレナ・トゥタッチコワの作品。彼女の仕事も気になる。2026/03/29

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