内容説明
何かが始まる予感を胸に東京を離れ、海辺の町・葉山で暮らしはじめたフードスタイリスト、志田エリ31歳。大都市と郊外、何かに追いかけられるような時間と、手を動かし、ものを作るささやかな生活…自分の価値観とともに海辺に暮らす人々と出会い、少しずつ解放され自分の時間を生きはじめた女性の姿を描く、すがすがしい短編。20年以上の時を経て、なおこころに響く海辺のフォークロア。
著者等紹介
永井宏[ナガイヒロシ]
美術作家。1951年東京生まれ。1970年なかごろより写真、ビデオ、ドローイング、インスタレーションなどによる作品を発表。80年代は『BRUTUS』(マガジンハウス)などの編集に関わりながら作品を発表した。1992年、神奈川県の海辺の町に転居。92年から96年、葉山で生活に根ざしたアートを提唱する「サンライト・ギャラリー」を運営。99年には「サンライト・ラボ」を設立し雑誌『12 water stories magazine』を創刊(9号まで刊行)、2003年には「WINDCHIME BOOKS」を立ち上げ、詩集やエッセイ集を出版した。自分でも旺盛な創作をする一方で、各地でポエトリーリーディングの会やワークショップを開催、「誰にでも表現はできる」とたくさんの人を励まし続けた。2011年4月12日に永眠、59歳だった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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qoop
6
湘南に移住した主人公の生活を書いた短編二篇。ものづくりを通じてコミュニティが活性化する兆しを書いた表題作と、都落ちの思いを抱えつつも克服するきっかけを象徴的に書いた〈砂浜とボート〉。いわゆるスローライフの走りであり、手垢の付かない状態でその魅力を伝える。2023/12/09
omatsu
2
あくせくしてないゆったりした気分の時に読みたい一冊。海を眺めに行きたくなった。『砂浜とボート』の方が好みの話。2023/12/12
○△□
1
装丁も素敵で、心を穏やかにしてくれる作品でした。葉山の暮らし羨ましいです。2023/12/10
snoringdog
1
この本には短編小説が2編含まれていて、どちらも葉山が舞台です。東京から移住し、自然との調和のなかで新たな生活を始める人たちが主人公。時間がゆったりと流れています。自然の描写とともに、読む人に安らぎを与えてくれます。読むことで副交感神経を優位にしてくれる本♪装丁から視覚的にも癒されます。2023/10/09