内容説明
欧米のポルノビデオとはまったく異なる独自の進化/深化をたどり、“裏のクールジャパン”として世界の性産業に影響を与える日本のアダルトビデオ。フィルムからはじまるその前史、そして1981年の誕生から現代までの四十余年の歴史を、VHS、DVD、配信へと移りゆくメディアの変遷、美少女、淫乱、熟女などさまざまな流行と、それを彩った女優たち、AVの存在そのものを脅かすAV新法にいたる規制や社会状況との駆け引きなど…、多様な視点からたどる、もうひとつの文化史。
目次
第1章 AV前史
第2章 黎明期のAV
第3章 AVブームの到来
第4章 新しい波と混沌
第5章 インディーズの襲来
第6章 レンタルvsセル
第7章 ボーダーレス化するAV
第8章 AVと人権
第9章 新たな可能性を求めて
終章 The History Goes On
著者等紹介
安田理央[ヤスダリオ]
1967年埼玉県生まれ。ライター、アダルトメディア研究家。美学校考現学研究室卒。主にアダルト産業関連をテーマに執筆。特にエロとデジタルメディアの関わりや、アダルトメディアの歴史の研究をライフワークとしている。AV監督やカメラマン、漫画原作者、トークイベントの司会者などとしても活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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原玉幸子
15
本書は、制作者と出演女性の意識、伝達媒体、法規制の線引き等其々の変遷に、近時問題視された出演を強要された女性被害者の事件性・犯罪も取り上げていて、全網羅のきちんとした(あとがきを読んで著者こそと思える)全史ですが、そもそも論を言えば、寧ろ風俗産業の世界と女性の際立つ自己顕示欲が蔓延る芸能界をどう捉え、そこにある(性)衝動と倫理・罪悪感は折り合いをつけるべきなのかを自問することになります。今や我々は、アイドルとAV女優も、正邪も善悪も表裏も、境目のない世界に居る?と、ふと思いました。(●2023年・春)2023/04/09
garth
7
タイトルについている「全史」の意味がしみじみと重い。「90年代にバクシーシ山下やカンパニー松尾、平野勝之らに代表される若き監督たちが、AVというジャンルの表現の枠を大きく広げることができたのもドキュメントという手法ならではだった。それがここで失われてしまうことになったのは残念でならない」2023/03/27
嗜好
1
厚みの割に意外とさらっと読めた。AV専門雑誌の廃刊によって、むしろ1980年代より2000年代以降の方が業界の当時のリアルな空気感が見つけられる資料が少ないという記述には驚きつつも納得し、その意味でもこのようなまとまった書籍を出してくれたことに感謝。10代の頃に集中的に見てその後完全に忘却していた女優(小川流果とか)の名前が出てくるたびに脳の変な部分が刺激され妙な感慨を覚えた。装幀が超良い。2023/03/21
コマンドー者
0
AVの歴史を総まとめにした一冊。文章のみで図版やスチール写真、ジャケ写などは一切ないのであくまで学術的な一冊である。2024/02/20
Wassssup_mymen
0
AV歴史書。AVの誕生から現在までを網羅した貴重過ぎる1冊。AVトレンドから読み解ける日本近代カルチャー史的な側面等もあり面白かった。歴史は繰り返すという点はAV史にも当てはまるようであり、AV新法によって懸念される影響についても書かれていた。AVは永遠で在るべき。2023/10/16