出版社内容情報
大山 淳子[オオヤマ ジュンコ]
著・文・その他
内容説明
丘の上に白くそびえる立派なホーム・ニーシャシャン。入居に際して唯一のルールは犬とペアになること。生きる意味を模索する犬と人の物語。
著者等紹介
大山淳子[オオヤマジュンコ]
東京都出身。2006年、『三日月夜話』で城戸賞入選。2008年、『通夜女』で函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ。2011年、『猫弁~死体の身代金~』にて第三回TBS・講談社ドラマ原作大賞を受賞しデビュー、TBSでドラマ化もされた。発行部数が数十万部を超える人気シリーズを持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
127
捻りのない題名だが決して侮ることなかれ、内容はすこぶる面白い。訳あり入居者と訳あり犬達が共に暮らす施設という風変わりな設定だが、最初の正丸銀太とサクラの話からぐっと心を掴まれ、七村さんとチェルシーの話ではもう安心して身を委ね、殺し屋の話ではもう涙腺が緩みっぱなし。『あずかりやさん』シリーズで信頼感がある大山淳子さんらしいほろ苦さに優しさを溶け込ませた展開。語り手が犬でも違和感なく読ませるのも手腕もいつも通り。桐島店主に雰囲気の似た支配人もいい味を出している。今回もメロメロ、やはりこの人の書く本は大好きだ。2022/12/31
みかん🍊
105
丘の上に立つ白い建物そこはフランス語で犬小屋と言う名の訳ありの過去を持つ人間と過酷だったり飼い主を失った犬がパートナーとなり静かに暮らす場所、出所してきた元やくざや余命宣告を受けていたり、挫折したピアニスト、人を騙し続けた老女等とそのパートナーとなる犬のそれぞれの目線で描かれている、人間も犬も救うこんな施設があればどんなにいいだろう、最後のポチがどうなったのかが気になるが人も犬も最後は穏やかに過ごして生き抜いて欲しい。2023/09/21
ネギっ子gen
101
えもさんの紹介に惹かれ――。老人ホーム「ニーシャシャン」。そこは、犬のホームで、老人は世話係。入居の条件は、犬と同居すること。犬の<食事を1日2回。糞尿の始末。散歩は1日2回、1回につき1時間ほど歩く>などをすることで、家賃や食費がただになるという仕組み。12年ぶりにシャバに出られたものの行き場がない、背中に龍の彫り物がある72歳の元ヤクザにとって、破格な夢のような話。ただ、<犬と聞いて不安になる。前世では犬を殺し、現世では犬に噛まれて死ぬ予定>の、犬に嫌われている男だから……。心が温まる、佳品でした。⇒2023/02/12
OSOGON15
97
初読み作家さんです。入居の条件は「必ずパートナーをつくること」唯一それだけが入居の条件である老人ホーム・ニーシャシャン。そこに纏わるお話7作品(プロローグ・エピローグ含)からなる短編でした。居場所を奪われた人たちと一匹でも多くの犬を救いたいという愛が溢れている心温まる物語。まさに読んで幸せな気持ちになるストーリーでした。2023/06/02
chimako
96
犬が家族の一員だと大切にしている人はとても多い。旅行に行くと必ず犬を連れた人たちに会う。とても高級だろうと思われる犬を何匹もカートに乗せ、リードを握り観光地を闊歩する人々。しかし、そんな風に大切にされる犬ばかりではない。虐待の末捨てられる犬も、生まれてすぐ捨てられる犬も、誰かを噛む事を強いられる犬も。ここは行き場のない人々を受け入れるホーム。料金はなし。ただ一つの条件が「責任をもって犬と暮らす」こと。愛するものを得たことで人生そのものがかわる。愛されることを知って穏やかになる。犬に限ったことではないよね。2023/06/08