内容説明
北海道に生き、八十歳で没した西勝洋一の第五歌集にして最後の歌集。著者六十年に及ぶ歌業の集大成。清冽な抒情と豊かな口誦性は今なお健在。人生の晩秋を迎えた日々を、少しの郷愁とたっぷりの諧謔をもってしなやかに詠いあげる。
目次
2002(平成14)年―邯鄲の声
2003(平成15)年―新雪
2004(平成16)年―イラク
2005(平成17)年―犠牲死
2006(平成18)年―追憶
2007(平成19)年―冬景色
2008(平成20)年―セレナーデ
2009(平成21)年―グラデーション
2010(平成22)年―五十年の後
2011(平成23)年―今年の秋
2012(平成24)年―十年を越ゆ
2013(平成25)年―哀愁の街に
2014(平成26)年―武漢まで
2015(平成27)年―八月の光
2016(平成28)年―夏のかたみ
2017(平成29)年―折々の歌
2018(平成30)年―献杯
2019(平成31 令和元)年―なつかしい庭
2020(令和2)年―悲しき雨音
2021(令和3)年―晩秋賦
2022(令和4)年―クリームパン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumicomachi
3
「短歌人」編集委員などを務めた作者の第五歌集であり、さいごの歌集である。北海道の公立中学校を定年退職した2002年から、亡くなった2022年までの20年にわたる作品がおさめられている。あたたかくも骨太で、厳しいところもある短歌の数々に、胸を打たれた。〈手袋を買いに行こうか十二月わが失くしたる手袋いくつ〉〈外連味のない人とだけ付き合っていきたいのです。ではさようなら〉〈分かり合える人らとばかり歩みゆく道などなくてしかもなお往く〉〈何ごとも努めれば少しは進むことわが半生に学びしひとつ〉等。2022年9月発行。2023/04/22