内容説明
現代短歌に魅入られて半世紀、時代と向き合い、果敢に状況に切り込んできた。短歌形式を選択した自負、塚本邦雄、福島泰樹たち、敬愛する歌人への思いを情熱をもって描き取る。
目次
1(變への意志―塚本邦雄『豹變』を読む;大變貌への先駆け―塚本邦雄『波瀾』を読む;『魔王』の大乱調―後期塚本邦雄の韻律 ほか)
2(短歌表現者の誇り―福島泰樹の現在;「福島泰樹」というジャンル;幸運な融合―福島泰樹『完本 中也断唱』を読む ほか)
3(『サラダ記念日』現象以後;短歌のニューウェーブについて;二〇二〇年の春を、歌人は如何に詠ったか? ほか)
著者等紹介
藤原龍一郎[フジワラリュウイチロウ]
1952年福岡生まれ。三歳の時に父の転勤で上京。以後、東京、大阪、横浜、千葉、東京と転居を繰り返す。1972年短歌人会入会。現在、編集委員。第三十三回短歌研究新人賞受賞。2020年より日本歌人クラブ会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あや
17
塚本邦雄の章で読みのに時間がかかってしまいましたが、福島泰樹さんを論じた章は共感するばかりですらすら読めました。短歌の俳句の違いを論じた章も面白かったです。おすすめです。2023/02/20
yumicomachi
2
巻頭から三分の一ほどが塚本邦雄についての文章、しかも悪趣味(バッドテイスト)な作品を特に取り上げて論じておりいささか胃に重たかったが、読み応えがあった。続いて短歌批評家・菱川善夫、編集者・中井英夫、短歌表現者・福島泰樹など著者が敬愛し影響を受けてきた人々に多くの頁が割かれている。所属結社「短歌人」の歌人ら・髙瀬一誌、蒔田さくら子、永井陽子への追悼文もひととおりでない深さがあり、しみる。時代と切り結ぶ短歌表現についての豊かでするどい評論集。ビアズリーの装画に彩られた装丁も素晴らしい。2022年9月1日刊行。2022/10/18