内容説明
ずる賢い悪童から「治世の能臣」へ。“腐れ宦者の筋”と揶揄されながらも策謀をめぐらせ、辣腕を振るう。
著者等紹介
王暁磊[オウギョウライ]
歴史作家。中国在住。曹操の21世紀の代弁者を自任する
後藤裕也[ゴトウユウヤ]
1974年生まれ。関西大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程後期課程修了。博士(文学)。現在、関西大学非常勤講師。専門は中国近世白話文学
岡本悠馬[オカモトユウマ]
1983年、兵庫県神戸市生まれ。神戸市外国語大学中国学科卒業。在上海日本国総領事館勤務(外務省在外公館派遣員)を経て、鍼灸師となる。臨床治療と並行して神戸市外国語大学非常勤講師、大阪大学医療通訳養成コース講師などを歴任。現在、群馬県の鍼灸養気院・副院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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つみれ
39
曹操を主人公に据えた三国志長編全十巻のうちの一巻目。どのエピソードをとっても曹操の周辺をかなり綿密に調べた上で書かれていることが伝わってきてめちゃくちゃおもしろい。一巻は曹操の幼年期から青年期までを描いているが、むしろ外戚・宦官の権力闘争に揺れる政界を巧みに渡り歩く曹操の親世代の描写にこそおもしろさを感じた。曹嵩の凄みをこれほど魅力的に描いた小説は見たことがない。物語としては、従来の三国志小説であればまだ登場しないような許攸や蔡瑁などが早くも登場し、伏線らしきものをばらまきまくっているのが楽しみすぎる。2020/02/24
みや
24
「三国志」曹操の一代記。第1巻は悪童の12歳から議郎となる20代前半まで。残された資料に軽く肉付けした程度ではない。曹操が、曹操の周囲に居た人々が、文字の世界から飛び出して生き生きと躍動している。相当なボリュームだが、それを上回る醍醐味が凝縮されていた。『曹操』という男の血となり肉となった人達を知ることは大変面白い。偏屈な曹胤、傲慢な曹鼎、厳しくも一族に愛情深い曹嵩…人間味あふれる親世代の姿は、様々な側面を見せる後日の曹操を思わせる。親戚や友人との絆、国政の権謀術数も面白い。橋玄の言葉はどれも染み入った。2020/04/08
朧月夜
12
とても面白かった 人名や官職名がたくさんでてくるのだが 中国のドラマ「曹操」が好きで何度も見ているので ほとんど戸惑うことなく 読み進められた 三国志の中で曹操が一番好きなので この本に出会えて嬉しい 全10巻の予定らしいので この先もとても楽しみ2021/01/11
崩紫サロメ
11
原文読了。面白い!英傑の少年時代というとエピソードの抜粋になりがちだが、本書は複雑な家系に生まれた少年の葛藤と成長の物語として読める。魅力的なのが曹操を4年間育てた七叔(曹胤)。「把心摆正了,一心想着把差事办好,给百姓出力,自然而然就行了。」という彼の言葉は曹操の「聖人」の部分につながるのか。また、「卑鄙」もまた七叔の話を通して感じた「这种家族带来的自卑感,竟从此根深蒂固,生生困扰了他一辈子……」であろうから、彼の存在はとても大きかったな……。2024/02/15
だてこ
6
曹操の幼少期から官位に就いて数年間の話。太平道は出てきたけどまだ黄巾の乱は起こらず。三国志は黄巾の乱以降しか知らないので新鮮だった!政治の腐敗がすごすぎるけど。これは反乱が起こるはずだよ。 そんな中、弱き者を救い悪を許さない曹操。かっこいいね!曹操の弟や妻、叔父達はこの本を読んで始めて知った。これは長いシリーズになりそう。続きが楽しみ!2020/12/25
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- 和書
- 土に贖う 集英社文庫