内容説明
夢と希望と不安をかかえ、編集者・岡田林太郎は、2018年4月13日に“ひとり出版社”を創業した。その日から5年のあいだ、彼は日記(ブログ)を書きつづけてきた。サラリーマン生活にピリオドを打ち、一念発起しひとりで出版社を独立創業、その後末期がんになった40代男性は、自分が書いた日記をよすがに過去を思い返し、それに対していまどう思うかを、文字どおり全身全霊をかけ最期まで書きつづった。その魂の記録。
目次
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
著者等紹介
岡田林太郎[オカダリンタロウ]
1978年生まれ。早稲田大学卒業後、出版社へ入社し、編集の仕事に従事。2023年7月3日、永眠。享年45歳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りんだりん
22
サラリーマン生活に別れをつげ「ひとり出版社」を創業した岡田林太郎さん。この頃から始めたブログが、やがて自分の人生の最後の数年を記録する大切なものになっていく。うまく行かないことがありながらも楽しく生き生き過ごしていたある日、病が岡田さんを襲う。この本はブログを岡田さん自身が見返しながら、現在からみえる過去、そして過去を踏まえた現在の岡田さんの心の内が記されている。前向きな気持ちになろうとして悲観的になったり、悲観的だけど頑張ろうと思ったり。人生が終わることが見えている人の葛藤が赤裸々に綴られている。★42024/03/09
のぶ1958
17
読友さんのご紹介で。 スキルス胃がんでステージ4と宣告された著者が病と向き合っていく心情が綴られている。本書の著者は40代、出版社を立ち上げこれからという時期での罹患に、読んでいて辛くなる部分も多かった。山本文緒さんの「無人島のふたり」もそうだったが、あらためて健康の大切さを思うとともに今の健康に感謝をしなければと。病になった時にも「平気で普段通りに生きていく」ことができる様に日々を精一杯悔いなく過ごす様に努力したい。 2024/04/13
momoちゃん
9
一人出版社を立ち上げたばかりだった著者は医師から進行の早いスキルス胃がんでステージ4と宣告された。本書を読んで一番印象に残るのは、医師から死病を宣告された時の著者の覚悟である。著者が繰り返し書いているのは「冷静に丁寧に、きちんとしていたい」ということだ。「取り乱すことなく、捨て鉢になることもなく、諦めることなく、最後まで丁寧に生きていきたい」 。その言葉通り、著者は残された時間を静かに丁寧に生きようとする。本書はその記録である。大切なことは、「なおかつ平気で普段通りに生きていく」ということだと教えられる。2024/03/07
ビーグル犬大吉
8
腸閉塞だと思っていたら突然、スキルス胃がんステージ4を宣告された著者が自身の病気について、奇をてらわず正直に書いた闘病記。印象に残った言葉は多々ある。「嬉しいときは素直に喜べばいい」「幸運は思いの強さが引き寄せる」「自分で選んだ変化は常に正しい」「亡くなった後でも本は残る」等々。先にスキルス胃がんで亡くなった松本智秋さんとの触れ合いなども胸を打つ。たしかに、人間いつか亡くなるのだから、たとえ無名であっても自分の本を残したいと願う気持ちはよくわかる。本書を読んで、私も本という形で何かを残したいと強く思った。2024/01/08
イッシー
4
村上春樹の主人公みたいに、音楽を聴きながら手の込んだ料理をする。文章も似ておりご本人も影響を受けたようで納得です。 死病を宣告されても、取り乱さずその丁寧な暮らしを続け最期まで仕事する勇敢さに敬意を覚えます。過去のブログに今の自分がコメントをつけていくスタイル。読みやすい文のおかげで一気に読めました。本を生業にしていても、本は生きるための手段で、もっとも誇らしく貴重なものは人間関係と言い切っているところが印象的でした。奥様との関係も素敵でした。御冥福をお祈りします。2024/09/19
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