内容説明
父親にも夫にもならなかったワーニャ伯父さん。都会で大学教授をしていた年上の義理の弟に長年仕送りをつづけ、いまは退職して田舎の領地にやってきたその教授夫婦に生活のリズムも心もかき乱される日々。森林保護に熱心な知人の医師のように世の中の役に立つこともなく、恋心を満たすこともできず、仕事しかしたことがないワーニャ伯父さん。身近な人たちと、そして自分自身と向きあうことはむずかしい。平凡な日常の中にこそ最も根本的な問題がある…チェーホフの問いかけはいつの時代もわたしたちの胸にひびく。
著者等紹介
チェーホフ,アントン・パーヴロヴィチ[チェーホフ,アントンパーヴロヴィチ] [Чехов,А.П.]
1860~1904。ロシア帝国下、アゾフ海沿岸の町タガンローグで雑貨商の家の三男として生まれる。子供の頃から様々な仕事をしながら学業をつづけ、モスクワ大学医学部に入る。在学中からユーモア作品などを次々と雑誌に発表し、卒業後、本格的な作家活動を始めた。多くの中短編小説で人気を博し、医師として地域活動もした。後年に発表した四大戯曲と呼ばれる『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『さくらんぼ畑(桜の園)』はモスクワ芸術座を皮切りに現代に至るまで世界各地で上演されており、未来に投げかけられた光はいまも人びとの心に届いている
安達紀子[アダチノリコ]
専門はロシアの演劇と文学。早稲田大学大学院文学研究科博士課程(露文専攻)を経て、朝日新聞モスクワ支局で勤務、その後早稲田大学、慶應義塾大学で講師となる。著書に小野梓芸術賞を受賞した『モスクワ綺想曲』(新評論)、共訳書にスタニスラフスキー『俳優の仕事』(日本翻訳出版文化賞、未来社)などがある。1999年、ロシア文化省よりプーシキン記念メダルを授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ワラスボン
KocmocKocma