内容説明
本書は、九世紀に成立したキエフ・ルーシの系譜を引くウクライナにおける、十七世紀から二十世紀はじめに至る思想の展開を跡づける一つの試みである。正教の神学者、連邦主義者、貴族政主義者、社会主義者、西欧主義者、民族主義者、人民主義者など取り上げた思想家は多様だが、彼らは一様にウクライナの現在と将来における体制と社会、複雑な歴史をたどってきた周囲との関係を考えている。ロシアやポーランドと離れて独立に進むのか、たがいに協調し何らかの連合を組むのか、あるいはベラルーシまで含めた東スラヴ全体の統合を目指すのか。ウクライナにおける思想史の展開をたどることは、現在のウクライナのアイデンティティと多様性を理解するためには必要不可欠の作業なのである。
目次
第1章 コサックの学問所―キエフ・モヒラ・アカデミー
第2章 コサックの基本法―ピリプ・オルリクの憲法
第3章 コサックの神話―『イストーリア・ルーソフ』
第4章 キエフの三人の若者
第5章 政治的自由とフロマーダ主義―ミハイロ・ドラホマノフ
第6章 ガリツィアの星―イヴァン・フランコ
第7章 貴族政と保守のイデオローグ―ヴャチェスラフ・リピンスキー
第8章 歴史家と政治家の間―ミハイロ・フルシェフスキー
著者等紹介
中井和夫[ナカイカズオ]
ウクライナ研究(歴史、文学、言語)、国際関係論。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キエフ・ルーシの系譜 多様な思想家群像 東スラヴの統合 ドニプロ川の両岸 言語と宗教の多様性 ペトロ・モヒラの学校 キエフ・モヒラ・アカデミー コサックの子弟 ピリップ・オルリクの憲法 ポルタヴァの戦い ペンデリでの発布 コサックの神話 イストーリヤ・ルーソフ キエフの三人の若者 コブザーリ ウクライナの国民詩人 政治的自由とフロマーダ主義 ミハイロ・ドラホマノフ ドラホマニフカ ガリツィアの星 リピンスキーの忠誠心 貴族政と保守 アイデンティティと多様性 スタールシナー ハルィチナー 民族意識の覚醒2025/04/15
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