内容説明
東南アジアに残る数少ない紛争地、フィリピン・ミンダナオ。反政府武装組織と政府との闘争は、50年近く続いた。もはや解決不能とみられたが、2018年7月に「バンサモロ基本法」が成立し、ようやく平和の道筋が確かなものとなってきた。ミンダナオ和平の功労者として国際的評価を得ているのが、日本政府とJICAである。和平合意もなく、治安が不安定な現場への長期職員派遣は、JICAの長い平和構築支援の歴史の中でも類を見ない。生命のリスクすらともなう状況下、日本政府/JICAはどのように和平プロセスに貢献したのか。その一部始終を知る著者が、“地べた派”の矜持を胸に回顧する。
目次
第1章 ミンダナオ島とスールー諸島(ミンダナオの歴史;ミンダナオ紛争の経緯)
第2章 和平合意に向かって(ミンダナオパッケージ支援;日本‐バンサモロ復興と開発イニシアティブ(J‐BIRD) ほか)
第3章 和平移行期支援(バンサモロ包括的能力向上プロジェクト(CCDP)
JICAコタバト・プロジェクト事務所(CPO) ほか)
第4章 開発が果たすミンダナオ平和プロセスでの役割(平和構築支援について;ミンダナオ和平支援の哲学)
著者等紹介
落合直之[オチアイナオユキ]
1963年横浜市生まれ、明治大学政治経済学部政治学科卒業、法政大学大学院政治学研究科政治学修了。1991年国際協力事業団(JICA:現国際協力機構)入団。東南アジア地域、平和構築、ジェンダー、鉱工業、企画、調達、安全管理を担当する本部部署や海外事務所(フィリピン、ヨルダン)に勤務。在フィリピン日本大使館一等書記官、ミンダナオ国際監視団(IMT)シニア・アドバイザー、JICAバンサモロ包括的能力向上プロジェクト総括を歴任。2016年中曽根康弘賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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