内容説明
ゴールドマン・サックスで「成長至上主義」と闘い続けた16年。お金と社会のつながりが見えてくる。
目次
1 資本主義は「限界」か?(資本主義の方程式;競争原理がすべてを動かす)
2 お金の流れを根本から変える(日本の資本市場のボトルネックは「忖度」文化;「忖度」を解くカギは「緊張関係」;「空気の読めない人」が時代をつくる)
3 ピラニアを放り込め!(過去の言葉になった「Asia ex Japan」(日本を除くアジア)
「健全な緊張感」のもたらし方)
著者等紹介
清水大吾[シミズダイゴ]
1975年、愛媛県西宇和郡伊方町生まれ。2001年に京都大学大学院を卒業し、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現シティグループ証券)に入社。07年にゴールドマン・サックス証券に入社し、16年からグローバル・マーケッツ部門株式営業本部業務推進部長(SDGs/ESG担当)。社会の持続可能性を高めるためには資本主義の流れを変える必要があると考え、社会の価値観に働きかける啓発活動を推進。23年6月、同社を退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ta_chanko
20
競争原理がすべてを変える。失われた30年から脱却し、日本経済が復活するためには、忖度文化を払拭し、株主からの厳しい期待や要求に向き合い、フェアな競争社会を構築することが不可欠。このままでは日本経済は、日本人の暮らしは、「茹でガエル」のように気が付いたら手遅れ状態になってしまう。水槽にピラニアを入れることで魚がストレス死しなくなるように、危機感があることで生命力が大きく向上することもある。「政策保有株式」や「株式の持ち合い」をやめ、期待して購入してくれた株主(お金の出し手)に対して誠実な経営を心掛けるべき。2024/05/27
ともふく
14
非常に興味深く1日で一気読み。拡大する貧富の差、一部業界・役職の高額報酬、毒を撒き散らすSNSの広がりなど、資本主義の行き過ぎを感じていた。著者は資本主義の問題点を成長至上主義、会社の神聖化、時間軸の短期化にあるとする。また、日本の問題は、合理主義が徹底されておらず、忖度で物事が決まること、「ピラニア」を水槽に放り込むように、各市場に規律と緊張感を持たせるべきと説く。そのために株の持合い解消に、著者が力を入れて取り組んだ。(続きはコメントへ)2025/03/23
紡ぎ猫
14
目先の利益だけを求めるのではなく、長い目で日本を元気にするために投資する投資家が必要だとのこと。アメリカ式のシビアな世界で戦い、外から日本を見てきた著者が、日本の悪い所と良い所を分析してこれから日本がどう変わっていくべきかを提言している。自分にできることは少ないけど、日本に戻ってきてようやく、アメリカ人のスローガン「Buy America(米国製品を買おう)」のように、「Buy Japan」が実践できるようになった。少しでも国産を応援しよう。2023/12/08
カエル子
8
日本経済に足りないのは、社会に緊張感と活力を生む規律。政策保有株式は、規律の対局にある忖度文化の象徴。投資と投機を混同しないこと。短期的な成長を目的とせず、社会をどう変えたいのか、その目的を見失わず、それに必要な時間とお金をどうやって調達し実行に移していくべきかを考え、取り組む企業だけが残っていけば良い。というか、それが資本主義。「Up or Out」の米国証券業界で生きてきた著者が日本の社会と経済を見捨てず、立て直そうとするモチベーションがよくわからなかったけれど、離脱せずぜひ助けてほしいと思った笑。2024/02/05
たむさん
8
ゴールドマンサックスという資本主義の中心で戦い続けた筆者の覚悟と思想に勇気をもらえる一冊。 今の成長至上主義の社会に疑問を抱いている人に、具体的な戦い方を筆者なりのやり方で教えてくれる。2023/12/09