出版社内容情報
余計なプライドを捨て「キャッシュ創出マシーン」になりきれるか?
経営をお金の視点から見ることではじめてわかる企業価値創造のプロセス
マルクスは資本主義システムの機能を「お金→資本→より多くのお金」というフローを作り出すことであるとした。つまり企業とはより多くのお金を生み出す「キャッシュ創出マシーン」であるということだ。実際、企業価値評価の2大バリュードライバーはキャッシュフローとその成長性であり、余計なプライドを捨て「キャッシュ創出マシーン」になりきれるかが企業価値創造を左右するのである。
そのために求められるのがコーポレートファイナンスにおけるパラダイムシフトだ。結論から言えば「お金 →資本→より多くのお金」というフローを、「ファイナンス(お金→資本)」と「キャピタルアロケーション(資本→より多くのお金)」の2つのプロセスから構成される財務マネジメントと捉え直し、特に後者を重視する。つまり財務マネジメントにおいて重視するフェーズを「お金→資本」から「資本→より多くのお金」へ転換すべきであり、かつてのコーポレートファイナンス的発想は役割を終えたのだ。
しかし現実にそれを理解しているのは一部に限られ、ほとんどは「予算消化」のような発想で取り組んでいるのが実態であろう。
本書は「キャッシュ創出マシーン」への変身プロセスを「経営者こそ投資家である」という視点に立ち、特にキャピタルアロケーションにフォーカスを当て、国内外の事例とともに解説する。キャピタルアロケーションは、バフェット氏がその重要性を説いた影響もあり、一部関係者の間では既に関心が高い。日本でもコーポレートガバナンスコードに関連する記述があり、経営資源としてのお金の配分(=キャピタルアロケーション)への関心も高まりつつある。また、事業ポートフォリオの見直しによるキャピタルアロケーションの変更への投資家の関心も高まり、アクティビストを中心に、再投資ではなく資本還元へのキャピタルアロケーションの引き上げへの要求も増えている。ファイナンス研究の第一人者が、ESGを含む最新動向にまで目配りをしながら、そうした状況を踏まえ解説する最新の実践の書である。
内容説明
危機を乗り越え勝者となった企業と乗り越えられず敗者となった企業の差は、危機の期間中における「お金のやりくり」への積極性の差によるところが大きい。ライバル企業が恐怖心を抱く時に貪欲になれるかどうか。ポスト・コロナを生き抜くための「お金のやりくり」。
目次
序章 コロナ・ショックが企業価値創造を「正常化」させる
第1章 キャピタル・マネジメントの全体像―お金の「やりくり」が企業価値創造のカギとなる
第2章 投資へのキャピタル・アロケーション―投資こそ企業価値創造の源泉である
第3章 資本還元へのキャピタル・アロケーション―規律ある資本還元が資本コストを低下させる
第4章 ファイナンス―キャピタル・マネジメントの起点はファイナンスである
第5章 M&A―成長や組織能力を買う「攻め」の事業ポートフォリオ・マネジメント
第6章 事業売却―「引き算」で価値を創造する事業ポートフォリオ・マネジメント
終章 企業価値創造実践のためのチェックリスト―7つのチェックリストを実行し、企業価値を創造する
著者等紹介
手島直樹[テジマナオキ]
小樽商科大学教授。CFA協会認定証券アナリスト。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。慶應義塾大学商学部卒。米ピッツバーグ大学経営大学院MBA。1996年、アクセンチュア入社。2001年、日産自動車入社、財務部、IR部を経て2009年に独立し、インサイトフィナンシャル株式会社設立。2015年4月、小樽商科大学准教授。2018年10月、同教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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奈良 楓
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sho