内容説明
思想としての本格指向と、資質としての変格嗜好に引き裂かれる部分を持ちながらも、双方を排斥しあうことなく交錯し蝕知させる作品群。オリジナル・アンソロジーで再発見。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894(明治27年)~1965(昭和40年)、小説家。1923年、『新青年』に掲載された「二銭銅貨」でデビュー。初期作品は日本人による創作の探偵小説の礎を築いた。幻想怪奇小説も人気を博す。1936年、少年向け推理小説シリーズの第1話「怪人二十面相」を雑誌『少年倶楽部』に連載。太平洋戦争により一時執筆を休止したが、戦後再開し、子どもたちから絶大な支持を受けた
長山靖生[ナガヤマヤスオ]
評論家。1962年茨城県生まれ。鶴見大学歯学部卒業。歯学博士。文芸評論から思想史、若者論、家族論など幅広く執筆。1996年『偽史冒険世界』(筑摩書房)で大衆文学研究賞、2010年『日本SF精神史 幕末・明治から戦後まで』(河出書房新社)で日本SF大賞、星雲賞を受賞。2019年『日本SF精神史 完全版』で日本推理作家協会賞受賞。2020年『モダニズム・ミステリの時代』で第20回本格ミステリ大賞“評論・研究部門”受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アーミー
4
本作は、乱歩の作品の中から、幻想的で奇怪な日常をさらけ出す作品を選りすぐった傑作短編集。乱歩独特の心理的サスペンスを用いた、甘美な恐怖に満ちた世界が繰り広げられている。猟奇的な殺人事件はなくても、奇怪で不気味なムードが満載。このような世界観を演出できる乱歩の筆力のすごさを、改めて思い知る。加えて、長山靖生さんの解説も乱歩を知りたい方には、興味深く読めると思った。江戸川乱歩の異次元ワールドが堪能できる本作。ミステリアスな殺人事件を扱った作品を豪華な食事と例えれば、本作は食後のデザートのような一冊と思える。2021/03/31
hiro6636
2
「人でなしの恋」、「押絵と旅する男」、「人形」など。 随筆「人形」は人形趣味には必読だと思われる名文。2022/02/07
meg-me
1
怖さと気持ち悪さと面白さが入り混じっていた。2024/09/20
ケロたん
1
幻想の世界に連れて行ってくれます。2024/08/22
安土留之
1
短篇10、随筆8篇を収録。短篇は『押絵と旅する男』、『人でなしの恋』『火星の運河』の3篇が既読だったが、あとの7篇は面白く読んだ。随筆8篇は、乱歩の浅草、人形、レンズなどへの偏愛を語ったもので、小説以上に面白かった。乱歩ファンにはおすすめのアンソロジー。 なお、有名な『群衆の中のロビンソン・クルーソー』を収録しており、未読だったので嬉しかった。都会の孤独、あるいは現代の「引きこもり」にもつながる心情を描いており、また、アーサー・マッケンの傑作『夢の丘』を紹介した随筆としても有名です。 2021/05/02
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