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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
112
オスト教授の果敢な試み。有名なギリシャ悲劇『アンティゴネー』の主人公アンティゴネーを、キリスト教社会であるフランスの学校でヴェールを被るモスリム女性に見立てる。彼女の兄弟2人は自爆テロを起こそうとした方と止めようとした方。収束させるために、校長は経緯を都合よく仕上げるのだが…。敢えて感想を書くとすれば、ギリシャから現代にまで伝え残る名作に安易に話を被せると、かえって分かりにくいものに仕上がってしまうのだという印象を受けた、ということになる。2019/10/30
松本直哉
28
被る女性の数だけヴェールがあり、ある人には隷属の象徴でも、別の人にはポジティブな自己表現になる( black や queer など支配層から捺された烙印を、黒人や性的少数者が肯定的に使うように)。それならばヴェールそれ自体が開かれた問いとなり、答えを探りつつ道を見つけなければならない。しかし法律は始めから答えがあって、ヴェールすなわち退学処分以外にない。ソポクレスの原作を彷彿させるアイシャと校長の息詰まるやり取りが圧巻だった。原作と違って彼女に共感と応援が集まり、生徒が授業をボイコットする展開も興味深い2022/07/05
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