内容説明
相模原殺傷事件をめぐり数々の議論がなされ、論考が発表されてきたが、本書は、植松の主張を真正面から“思想”として捉え、分析しているという点で他に類をみない。具体的には、植松の主張である「大麻を“地球の奇跡”とよび、必要性を訴えていること」「文面上は、戦争に反対していること」「障害者の殺害を安楽死という言葉をもちいて宣言していること」の3点を手がかりに考察。第一次世界大戦前後から現在に至るまでの政治、社会、精神医学分野での研究を参照し、なぜ彼がそう主張するに至ったか、その構造を解明する。
目次
第1部 相模原殺傷事件の“思想”(相模原事件が問いかけるもの;“思想”の見取り図―大麻・戦争・障害者殺害;いかにして植松聖は“思想”を引き寄せたか)
第2部 優生思想と戦争(優生思想の精神医学;戦争の精神医学;国家意思・戦争・精神医学―主に日本の場合)
第3部 イデオロギーと精神医学(相模原殺傷事件の倫理学―社会・イデオロギー・精神病理学;戦争と福祉国家の逆説―相模原殺傷事件の影)
著者等紹介
高岡健[タカオカケン]
1953年生まれ。精神科医。岐阜大学医学部卒。岐阜赤十字病院精神科部長、岐阜大学医学部精神病理学分野准教授などを経て、現在、岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター。自閉スペクトラム症の臨床研究、少年事件の精神鑑定、不登校・ひきこもりの臨床社会的研究などに取り組む。日本児童青年精神医学会理事。雑誌『精神医療』(編集=「精神医療」編集委員会、発行批評社)編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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