内容説明
壱岐沖の孤島に、隠れ切支丹の末裔である富豪が築いた異形の館「淆亂“バベル”館」。心理学専攻の学生・夷戸ら三人は、観光のつもりが館の使用人を名乗る男たちに囚われる。館に集っていたのは、人気劇団の役者たちとゴシップ記者。この館の主は、彼らにとって因縁深い、失踪した伝説の俳優だと言うのだが―。
著者等紹介
倉野憲比古[クラノノリヒコ]
1974年、福岡県大野城市生まれ。立教大学文学部卒業。公認心理師。2008年に『スノウブラインド』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちーたん
89
★★★☆☆「あの孤島曰く付きだしボートで近くまでいかね?」軽い気持ちで近付いた3人組は島にいた怪しい男達に捕まり島唯一の建物の館へ拉致される。館には既に軟禁された男女5名が!その5名には島に来た理由があり…◆初読み作家さん。実はこれシリーズ3作目。10年のブランクを経ての新作と読了後に知る。なるほど!プロローグの入り込む余地ない空気感はそのためか笑。薀蓄や専門用語など取っ付きにくい部分あるけど、やがてそれが伏線回収されてく様はグッド!でも如何せん話の持ってき方が不自然で気になって仕方ないwでも楽しめた!2022/03/01
yukaring
58
怪談が語り継がれる孤島、隠れキリシタンが建てた館に人間消失など宗教とオカルティックな雰囲気満載の物語。紅い月が昇る夜に惨劇があるという島にたまたま上陸してしまった夷戸と友人達。島に住む謎の兄弟に幽閉されたのは島で唯一の建物〈バベル館〉。同じく彼らに幽閉された役者やゴシップ記者達と館の主人に会おうとするが、現れたのは18年前に死んだはずの伊留満と後に残ったのは暖炉で顔を焼かれた死体。閉鎖環境で異常心理に導かれる人達の葛藤と次々と起こる惨劇。心理学に造形が深いという作者の手腕が存分に発揮された異形のミステリ。2023/01/27
雪紫
54
ある意味頭くらくらする。暖炉の遺体。キリシタンの島。亡き当主に狂わされた関係者の怨みと執着。桜の下の足跡なき殺人。そして歪まされた信仰と心理学。すべてが混ぜこぜされた「推理」というより「解釈」がぴったりとくる展開。・・・そして、矛盾とともに突きつけられる解釈よ。・・・ぞわっとする。果たして正しいのはどっち・・・いや、そう決めることに意味なんてあるの?2022/11/19
Nyah
50
不穏な伝承のある隠れキリシタンの弔月島へ船で渡った夷戸と根津、美菜。島に着くなりお仕着せを着た二人組に船を壊され携帯を海に流される。淆亂館(ばべるかん)へ連行された三人の前に、ゴシップ誌の二人、有名劇団の三人も同様に連行されたと。怪しい黒衣の男、お仕着せの二人が主人と仰ぐ人物。そして次々と人が死ぬ。春日武彦(精神科医)推薦の書。夷戸の心理学の説明がちょっと長口舌だが、おどろおどろしくて楽しい。😏2023/02/19
koma-inu
40
何とも、印象的な作品。孤島を見物に来た三人、失踪した俳優を追ってきた訪問者達が、クローズドサークル内の館で謎めいた殺人に巻き込まれる。幻想、宗教、ホラー、心理学が混じった、独特の世界観がたまりません。顔の無い死体、足跡のない殺人と、ミステリ要素もモチロンありますが、さすが倉野さん・・!と言うべき、狂気的なトリック。ラストはSFの如き再逆転?で、無力を呟く主人公が、読者の代弁のようでした。10年ぶりの新作でしたが、次作は早く出ないかな〜と望んでます。2022/09/23
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