戦時下の日本犬

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戦時下の日本犬

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  • サイズ B6判/ページ数 265p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784909560230
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0021

出版社内容情報

国家総動員体制下、犬の供出運動が台頭するなかで、日本犬を守り抜こうとした人々と日本犬の過酷で数奇な運命を描いた現代史。明治維新後の洋犬流入によって、日本列島で暮らしてきた犬は絶滅の危機に瀕した。それを救うために保存活動が立ち上がり、洋犬に対する日本犬という名称が誕生する。しかし、その困難な活動は戦争に向かう時代と重なる運命にあった。やがて国家総動員体制下、飼い犬まで集めて撲殺する供出運動が始まるのである。かろうじて生き延びてきた日本犬に、再び絶滅の危機が迫った。 

 多くの飼い主が泣く泣く犬を手放す中で、「シェパードに負けない軍用犬にしよう」という軍用日本犬論も台頭。最後まで日本犬を守り抜こうとする人々は、極限の苦悩を強いられた。人間と共に生きてきた犬に降りかかった過酷な運命は、現在の私たちに多くの教訓を与えてくれる。また、保存活動が抱え込んだ「世界の中の日本」という難問は21世紀に持ち越され、いま時代のテーマとして再浮上している。

序章 犬を供出せよ
・「マヤの一生」
・マヤは太い棒の一撃で息絶えた
・犬を供出せよ
・殺す側にいた人々
・天然記念物の肩書きも無意味に

第一章 時代と併走して日本犬保存活動始まる 
・斉藤弘吉、日本犬保存会を旗揚げ
・日本犬保存会に集った人々
・東日本第一の秘境「三面村見聞記」
・会員たちの努力と情熱
・次々に天然記念物に指定
・日本主義の高まり
・日本美の再発見
・純血を守るということ
・人間と犬の関係は後戻りできない
・日本犬保存活動の先見性
・帝国軍用犬協会、発足
・日本シェパード犬協会にかかった圧力
・帝国軍用犬協会の内部事情
・軍犬報国派が富裕層を追放
・飛躍する日本の畜犬界
・「いとしや老犬物語」忠犬ハチ公、世に出る
・フィラリア研究会創立
・日本犬保存会、ハチ公の銅像を建てる
・除幕式
・天皇機関説が排撃される中、ハチ公死す
・剥製にするため科学博物館へ
・ハチ公、教科書に載る
・忠犬否定説
・ハチ公への中傷に怒る木村泰治
・ハチ公が生きた時代
・寺田寅彦のハチ公論

第二章 日本犬、第一回軍用犬耐久試験で大奮
・不況の影響を受けなかった知識層
・ドイツでシェパードの父が追放される
・第一回軍用犬耐久試験に参加
・中山競馬場に詰めかける観衆とマスコミ
・不調の中、「日本犬の名折れ」と強行出場
・少なかった軍用犬の参加
・日本犬、健闘を称えられる
・関東月例研究会「欧州犬界見たまま」
・中国から軍犬班の責任者が来日
・日本犬を警察犬に
・二度も飼い主を救った忠犬タマ
・泉茂家、日本犬保存会大館支部を結成
・秋田犬、初めてイギリスに渡る

第三章 日中全面戦争開始 軍用日本犬論の台
・日中全面戦争開始
・斎藤弘吉、調査のため朝鮮半島へ
・日本犬を軍用犬に
・軍用犬登用の障壁、一代一主論
・畜税犬廃止論と三河犬の浸透
・戦場をさまよう犬たち
・死の街、南京に響く遠吠え
・現場でみた軍犬と主人を失った飼い犬
・連載「私と犬」に見る会員たちの横顔
・皇国日本を支えた地域の名士
・珍しい女性会員
・帝国軍用犬協会支部長も兼任 
・三河犬を評価する会員も
・日本犬はいい猟犬 
・無二の友だち
・悪徳業者の存在
・国粋主義に染まっている会員
・十代の会員
・大切なクマ号を盗まれる  
・配属将校という立場
・ハチ公人気の影響
・多頭飼いする会員
・職業は様々、洋犬の飼育者も
・国家総動員法施行
・『動物文学』と検閲
・秋田犬、北支那派遣軍に献納

第四章 帝国議会に登場した犬猫不要論 
・献納秋田犬の現実
・使役犬としての日本犬
・日本犬は家畜化されてこなかった
・会報に「戦線頼り」登場
・日本における犬皮利用
・犬の肉も食べられた
・軍と犬皮
・商工省、皮革を統制下に置く
・柳田国男の秋田犬 
・日本犬をそのままで軍用犬に
・外地に行った理事たちの近況報告 
・皇紀二六〇〇年、犬猫不要論の登場
・畑陸軍大臣、人道会から表彰される
・皮革不足という素地に節米運動が加わる
・犬猫不要論への反論
・平島藤寿の主張
・畜犬廃止論を駁す
・紙不足で会報から表紙が消滅
・軍用日本犬論の過激化
・親軍派の台頭
・産地別の特色にこだわらず日本犬として改良を
・合理主義だけでは割り切れない心情
・意外に多様な意見を持っていた戦前の日本人
・「本会の使命並びに事業と日本犬の将来」
・心配する外地の会員たち
・日本犬保存活動の自己否定へ
・紀州犬界の苦難
・防げなかった悲劇 
・小竹の鉄号
・北海道犬は日本犬か
・北海道犬関係者の怒り

第五章 犬と飼い主に対して強まる圧力
・犬肉、食用として公式に認められる
・飼育者の辛い心情
・犬を手放しはじめた会員たち
・通信販売による被害、平島の覚悟
・いよいよ強まる駄犬撲滅の声
・平島藤寿の真可号、ハルビンへ
・「保存こそが我らの使命」
・犬の代用食をつくる
・漫然と無自覚に犬を飼うことは許されない
・人気マンガ「のらくろ」連載中止
・軍用犬をめぐって続く議論
・軍用犬は役に立つのか
・「日本犬を皇国のお役に立てましょう
・犬界の新体制
・輓曳犬の育成
・ドイツから出陳依頼
・痩せ細る会報『日本犬』
・悲壮感を帯びていく編集後記
・人手不足で印刷所も休業
・軍用犬関係三団体の合併
・合併交渉と斎藤弘吉
・犬界の挙国一致体制
・日本犬保存会の生き残り策?
・「他の犬種団体は何をしているのか」

第六章 日本犬保存会、無念の活動停止
・第一〇回本部展の日に太平洋戦争開始
・ミッドウェー海戦で早くも戦局が悪化
・奮闘する『犬の研究』
・会員の嘆き
・飼料不足を工夫と努力で乗り切る
・戦地便りが唯一の読み物
・北満とビルマより
・編集後記、悲痛な調子に
・獣医師、朝倉四男児父子の戦争体験
・動物愛護に関する重要な座談会
・日本人は安楽死を好まない
・日本人は優しいのか残酷なのか
・戦前最後の展覧会
・国家総動員体制の中の動物園
・帝国軍用犬協会も活動停止
・このままでは一巻の終わり
・なし崩し的に始まった犬の供出
・北海道の事例
・公報で国民精神総動員を訴える
・「野畜犬 進んで奉公 さあ! 今だ!」
・北海道における供出の特徴―猫も供出、輓曳犬は除く
・読み終わるのに三〇分とかからなくなった会報『日本犬』
・窃盗で大切な犬を失う
・犬の撲殺に対する石川忠義理事の鋭い批判
・犬の撲殺は所有権の侵害
・戦前日本犬保存会の高い知的水準を示す
・戦前最後の会報
・紀州犬界、天然記念物指定犬の保護を嘆願
・日本主義に基づく平岩米吉の家庭犬擁護論
・『動物文学』も休刊 

第七章 犬を守ろうとした人々の苦闘 
・ハチ公像に白襷がかけられる
・ハチ公は軍国主義の象徴か
・ハチ公の物語がもたらす豊かさ
・最後のところで軍国主義と相容れなかった日本主義
・犬版大東亜共栄圏構想
・「一切の畜犬はあげて献納もしくは供出」
・強制ではなく献納「運動」
・空気の支配と忖度
・おもちゃ犬を飼うのは非国民
・消えていく飼育者、野犬化する犬たち
・長春号の血を受け継ぐ、ただ一頭の雄犬
・古城九州男、香川の会員たちに八頭の飼育を委託
・松風号、奇跡的に生き残る
・明日をも知れぬ苛烈な情勢下で交配を断行
・紀州犬関係者、「獣猟報国団」を結成
・柴犬を飼育していた中城龍雄と憲兵との会話
・猪型甲斐犬の悲劇
・最大の被害をこうむった秋田犬
・大切に育てた犬の首を吊る
・苛烈な時代を生き抜いた秋田犬、守った人々
・戦争を生き抜いた一ノ関系の犬
・秋田犬を飼いつづけた警察官
・健ハル母さんからの聞き書き
・らいのははさんが聞いた甲斐犬の供出
・『戦争中の暮しの記録』より
・猟師が撃ち殺し、その肉で酒盛り
・利口で有名な犬、コロの最期
・人目を忍んで飼い続ける
・創立時の理事、小松真一の戦争体験 
・戦場で与えられた究極の使命、犬の特攻隊構想

終章 日本犬、焼け跡から復活
・シェパードはいても日本犬はいない
・ハチ公像、再建
・GHQの後押し
・在日米軍兵士が秋田犬に注目
・日本犬保存会、活動再開
・軍用日本犬論を振り返る
・日本犬は鑑賞犬だ
・日本犬はどうあるべきか
・一番人気、柴犬に迫る危機
・グローバル化と日本らしさの追求

川西玲子[カワニシレイコ]
著・文・その他

内容説明

人間と共に生きてきた日本犬の過酷な運命を、関係者の証言をもとに再現!

目次

序章 犬を供出せよ
第1章 忍び寄る暗雲の下で 日本犬保存活動始まる
第2章 日本犬、第一回軍用犬耐久試験で大奮闘
第3章 日中全面戦争開始 軍用日本犬論の台頭
第4章 帝国議会に登場した犬猫不要論
第5章 犬と飼い主に対して強まる圧力
第6章 日本犬保存会、無念の活動停止
第7章 追いつめられる犬たち 守ろうとする人々
終章 焼け跡からの再出発

著者等紹介

川西玲子[カワニシレイコ]
文筆業。1980年、中央大学大学院法学研究科修士課程修了。元東京学芸大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

onepei

2
なんとも気の毒なことをした。2019/01/26

山口透析鉄

1
市の図書館から借りて読みました。 国家総動員法から後の日本は終戦まで転落の一途で、ミッドウェーで空母を失ったあたりで敗戦は決定していたのでしょうが、やはり軍部はどうしようもなく、悪辣なトリクルダウンが日本全体を覆い、動物も人も散々な目に遭っていますね。 日本犬好きな著者とはSNSで面識もあるので、細かいところも色々聞いています。 同調圧力と忖度、当時と今の日本、大差なくて、犬死、今もあるでしょうね。 残念でしたが調査等は大変だったでしょうし、とても貴重な記録でしたね。犬好きな方には読んで欲しいですね。 2022/11/13

takoroy

1
昭和初期の日本犬保護会の成り立ちから、終戦に至るまでの日本犬たちの苦難の歴史が描かれている。 本書は読むのがつらい部分も多く、なかなか読み終えることができなかった。戦後の復興期に、日本犬の価値を再検討する人々が存在したことは、日本の犬たちにとって救いとなっていることだろう。 本書を一言でまとめた言葉が終章にあるので、引用しておこう。 「日本犬は日本を強く自覚する中から生まれた、近代の産物である。そこには近代日本の物語が刻み込まれている。」2019/03/31

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