内容説明
ソ連崩壊予言、田中角栄無罪論、天皇論…いまだ異彩を放つ鬼才が三島由紀夫を徹底分析、自決と輪廻転生の謎に挑んだ問題作!
目次
第1章 三島由紀夫と二・二六事件
第2章 戦後天皇制に挑戦した三島由紀夫
第3章 復活する三島由紀夫
第4章 三島由紀夫の軌跡
第5章 三島由紀夫の遺言
特別寄稿 三島由紀夫と舞台の河
著者等紹介
小室直樹[コムロナオキ]
昭和7年、東京都生まれ、会津若松市で育つ。京都大学理学部数学科卒業。東京大学大学院法学政治学研究科修了。ミシガン大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学に留学。法学博士。平成22年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆうきなかもと
7
非常に面白い。以下要約。三島由紀夫は、天皇絶対主義者でありながら、天皇の伝統に対する最も痛烈な批判者であった。それは彼の著書から、彼が「意志の輪廻転生」を信じ、それを支える唯識論の世界観が、皇国史観の世界観と矛盾するからである。また、唯識論では罪あるものこそ生まれ変わるという。三島は自決するときに七生報国というはちまきをしていた。また、唯識論における転生を意図していたかのようなところもある。そして、この本を読んで熱くなってしまった私の内側に三島の意志が転生してしまったというのは三島の罪にほかならない。2020/07/12
スナフキン
7
小室直樹による三島論。新書だが、2.26事件の資料や仏教の教義が引用されていて、難しかった。今までいろんな三島論を読んできたが、ここまで武士としての三島、男としての三島に心酔している評者は初めてだ。『豊穣の海』以外の小説は一切論じない徹底ぶり。題名は三島が誕生日の49日前に自決したことに由来するのだろうが、将来日本が危機に 陥ったとき三島の遺した数々の予言や言葉が役に立つだろうという著者の予言でもある。そして、今の日本の政治の堕落、日本人の堕落を目の当たりにすると、著者の予言は当たると確信して止まない。2019/08/18
templecity
7
二二六事件は反逆罪で反逆したものは革命を起こすか駆除されるかのどちらかだが、反逆したものとの合流もあったが、最後は天皇が動きを嫌ったので投降して処罰された。三島は戦後日本の改革は良いが、唯一天皇人間宣言が許せないと言っていた。三島は出征する予定であり遺書まで書いたが、医者の誤診で戦場に行けずに終戦を迎えた。更に許嫁は別なところに嫁ぎ妹は急死したのが戦後の始まり。盾の会造り、武道で徹底的に体を鍛え学生紛争で警察だけで群衆を抑え込んだことに自衛隊の存在意義に強く憤りを感じたようだ。(続きあり)2019/04/26
はな
4
遺作の豊穣の海のテーマとされる輪廻転生の仏教的意味から始まり、自衛隊市ヶ谷駐屯地での演説、切腹に至る三島由紀夫の精神的な変遷を辿った本である。現在のロシアによるウクライナ戦争で核の使用をちらつかせる独裁国家に対して米国の核の傘下で果たして我々は国を守れるのか、と言った憂慮と同様の感情を抱いた三島の思考が提出されている。自衛隊幹部に送った遺書的な文章の要約が三島の精神性の表出になっている。巻末の国立劇場理事による三島と歌舞伎の関わりの思い出話も興味を惹かれた。2024/03/24
Space invader元ダンリック
1
三島由紀夫はあまりにも、純朴過ぎた。ナイーブといってもいい。筋肉の鎧を装備した、現代の武士。それが、三島由紀夫だ。生まれ変わりの思想。それ自体が、罪の証明という哲学の元の自害。三島はなにをもってして、自身に業罪があるとしたのだろう。果たして、三島は復活したのだろうか?答は自明である。2019/09/11
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