内容説明
文学にかかわろうとしている限りにおいて、文学はいやおうなしに、人間性の根源的な悪の現場に、私たちを連れてゆく。戦争という人類的な悪を辞めさせるためには、その根源的な成立理由を曇りなく明るみに曝すことから始めなければならない。―『湾岸戦争論』『言葉と戦争』『水素よ、炉心露出の詩』と書き綴ってきた著者による、戦争論の完結編。
目次
1 戦争から憲法へ
2(福島の表現する詩人たち;声、言葉―次代へ「二〇一一~二〇一四」と明日とのあいだ)
3(出来事としての時間が不死と対峙する―ブルガリア稿;亡霊の告げ―演劇物語論;新しい文学“視”像を求めて 石牟礼道子『苦海浄土』を巡り;『からゆきさん』と『帝国の慰安婦』)
4(近代と詩と―主題小考;分かってきたことと不明と)
資料篇
著者等紹介
藤井貞和[フジイサダカズ]
1942年東京生まれ。詩人、日本文学研究者。“詩”“研究””批評”を経めぐるスタイルをつづける。『物語文学成立史』(東京大学出版会)、『平安物語叙述論』(同)、『源氏物語論』(岩波書店、角川源義賞)が物語三部作。『大切なものを収める家』(思潮社)、『「静かの海」石、その韻き』(思潮社、晩翠賞)、『ことばのつえ、ことばのつえ』(同、藤村記念歴程賞・高見順賞)と、言葉による実験が列なる。詩集はさらに『神の子犬』(書肆山田、現代詩花椿賞・現代詩人賞)、『人間のシンポジウム』(思潮社)へ広がり、『美しい子弓を持って』(思潮社)に至る。東京学芸大学、東京大学、立正大学の各教授を歴任。コロンビア大学で客員教授を務めた(一九九二~一九九三年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。