内容説明
いじめられているジョバンニをカムパネルラはなぜ助けない?国民的名作童話は、実は究極のミステリー。歴史を紐解き、賢治の遺した“ことば”を深掘りし、その“謎解き”に挑んだ快著!
目次
ジョバンニはなぜ銀河鉄道に乗れたのか
銀河鉄道は天空を走らない
「カトリック風の尼さん」とは何者か
「鳥を捕る人」の真実の姿
「灯台守」とは何者か
「姉弟」だけ日本人なのはなぜか
「トウモロコシの種まきを語る人」とは何者か
車窓から見える人たちについて
ジョバンニの友・カムパネルラのモデルとは
カムパネルラとジョバンニにとっての「銀河鉄道」〔ほか〕
著者等紹介
三浦幸司[ミウラコウジ]
1947年(昭和22年)、小樽市に生まれる。北大童話研究会、同人誌「原野の風」などに所属した。現在、日本児童文学者協会会員・評議員、北海道文学館理事、札幌市民芸術祭・市民文芸委員、子どもの本・九条の会会員、宮沢賢治学会イーハトーブセンター会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
61
銀河鉄道は一体どこを走っているのか? おそらく宇宙空間を走ると答える人が多数だと思う。しかし少年のころ、最初に読んだ印象は、全くそうではなく、幻想的だが地上を走っているとしか思えなかった。この矛盾に取り組んだ論もあったが、本書ではじめて、納得させてくれる謎解きに出会った。近年は、作品に頻出する西欧的、キリスト教的イメージを十分に説明しない論が多いように思うが、この点も本書はカバーしている。難破船の青年とふたりの姉弟とは、一体誰なのか。本書のその答を読んだとき、そうだったのかと、大変驚き、また感動した。2022/04/03
へくとぱすかる
41
3回目。そもそも銀河鉄道はどこを走っているのか? 「宇宙でしょ?」では困るのだ。読めば読むほど、どうしても「大平原を走る汽車」のイメージが感じ取れて仕方がない(山岳鉄道というイメージには乏しい)。しかし文章に散りばめられているのは星の世界のイメージという矛盾。ますむらひろし氏による三角標の正体の考察には感服したが、本書はさらに銀河鉄道の全体像をとらえている。なるほどそれならば、琴の星について作品にあのように書いてあることが理解できそうだ。論者の数だけありそうな作品解釈だが、本書は非常に的確だと改めて思う。2025/03/11
へくとぱすかる
36
2年ぶりに再読。賢治が着想して1世紀。「銀河鉄道の夜」が今なお人々を惹きつけるのは、数多くの謎に満ちた作品であることも一因である。しかも謎を解かれても依然として大いに魅力ある作品であり続けている。再読してみても、西洋的・キリスト教的な記述にかかわる謎や、鳥捕り・灯台守が本当はどういう人物なのかを解き明かす点がやはり斬新であると思う。賢治がそこに抱いていたイメージに、一貫したつながり・整合性が見られることについての指摘はやはり鋭いと思う。こうした論考は、読了後の更なる楽しみであるし、思いを新たにしてくれる。2024/02/24
スプリント
10
銀河鉄道の夜に登場する不思議なキャラクター達が誰なのか?どのような背景をもって登場したのか。 最終稿だけでなく予定稿も調べて論じています。 原作を読み返したくなりますね。2022/05/22
ギズモ。
4
これを読むと童話(子供向けイメージ)の概念が変わる。 自分が子供の頃に読んだとしたら、だだのファンタジーで終わるw 生と死(犠牲)、キリストと仏教。これは宮沢賢治を知って色々な作品を読んでないと分からないと思う。しかも「銀河鉄道の夜」は未完だと。2024/12/26