ゴーストシリーズ ゴーストダンス―ゴーストシリーズ〈３〉

プライス，スーザス【作】〈Ｐｒｉｃｅ，Ｓｕｓａｎ〉/金原 瑞人【訳】

サウザンブックス社（2020/02発売）

• サイズ A5判／ページ数 231p／高さ 21cm
• 商品コード 9784909125170
• NDC分類 933
• Cコード C0097

内容説明

皇帝の圧政に苦しむ北の民を見かねた見習い魔法使いのシンジビスは、魔法使いである祖母の忠告に逆らい、皇帝の街へひとり向かう。そこは正しい者が処刑され、不正が横行する非道の街だった。シンジビスは皇帝を正しい道へ導こうと手を尽くすが、皇帝の残虐行為に拍車がかかるばかり。そのうえ、皇帝に取り入る偽の魔法使いが、シンジビスを亡き者にしようと企んでいた。やがて悪との対決のときを迎え、シンジビスの怒りが炸裂する！英国発ダーク・ファンタジーのシリーズ・完結。

著者等紹介

プライス，スーザス［プライス，スーザス］ ［Ｐｒｉｃｅ，Ｓｕｓａｎ］
１９５５年、英国生まれ。１８歳でデビューし、１９８０年代に歴史ファンタジーで高く評価される。フォークロアをベースにした作風が特徴。１９８７年に『ゴーストドラム』でカーネギー賞、１９９９年に『５００年のトンネル』でガーディアン賞を受賞。主な作品に「ゴースト」三部作、『エルフギフト（上・下）』（金原瑞人訳）、『５００年のトンネル（上・下）』（金原瑞人、中村浩美共訳）、『５００年の恋人』（金原瑞人、中村浩美共訳）など

金原瑞人［カネハラミズヒト］
１９５４年生まれ。翻訳家、法政大学社会学部教授、フィクション、ノンフィクション、児童書など、多ジャンルにわたって翻訳を手がける。主な訳書に『武器よさらば』（ヘミングウェイ）、『青空のむこう』（シアラー）、『月と六ペンス』（モーム）、『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる／ハプワース１６、１９２４年』（サリンジャー）、『リズムがみえる』（アイガス）など。エッセイ集、日本の古典の翻案、ブックガイドなども幅広く手がけている（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[あたびー]

シリーズ3作目。皇帝の酷政から北の森を救うため、師匠の言葉に耳をも貸さず、皇帝の考えを正そうとする見習い魔法使いのシンジビス。しかし皇帝は彼女を利用するだけで変わらなかった。自らの力で死者の国を訪れ見習いから真の魔法使いへと脱皮するシンジビス。皇帝と偽魔法使いを滅ぼすためロキを召喚するダンスのシーンは圧巻です。しかし結果的に次の皇帝も先帝を踏襲し、北の森を救うことは出来ず、読者は主人公と共に夜の無常を知ることになります。僅かにシンジビスが森のために用意した死者の国の安らぎが救いです。

2023/08/22

[星落秋風五丈原]

　『ゴースト』シリーズ最終作。本シリーズは、全てカシの木に金の鎖でつながれた世界一物知りの猫が語って聞かせる物語‐話中話のスタイルである。見習い魔法使いのシンジビスは、魔法使いである祖母に、自分が死んだら妹の所にいって魔法修行を続けるよう言われる。しかし彼女は皇帝の圧政に苦しむ北の民を見かねて忠告に逆らい、皇帝の街へひとり向かう。そこは正しい者が処刑され、不正が横行する非道の街だった。シンジビスは皇帝を正しい道へ導こうと手を尽くすが、皇帝の残虐行為に拍車がかかるばかり

2025/05/08

[タカラ～ム]

「ゴーストシリーズ」３部作も本書で完結。まだ未熟な魔法使いシンジビスが、魔法の力で皇帝を動かし、世界を変えて圧政に苦しむ人々を救おうとするが、その考えを嘲笑うかのように事態はシンジビスの思いとは違う方向へ進んでしまう。本物の魔法使いの力を求めて、シンジビスは『死者の世界（ゴーストワールド』にたったひとり足を踏み入れる。クライマックスシーンの迫力は圧巻。血の海の中にたたずむシンジビスの姿に思わず息を呑む。「ゴーストシリーズ」の世界はダークだが、そこには人間の持つ闇の部分があるように思う。

2020/09/06

[八角屋]

相変わらず眉間にシワが寄るような残酷さ。でもこれが世界なんだな。皇帝と魔法使いの処遇については、甘い気もするけど、まあこんなもんでしょう。3部作、読めてヨカッタ。

2021/05/11

[topo]

冷酷非道な皇帝により滅びに瀕する北の大地を救うべく見習い魔法使いが立ち上がる。人の暗部を描き冷たく暗い展開なのに静寂と美に包まれる読後感。哀しみの内に宿る希望。闇を照らす仄かな光。もし世界が滅ぶならこの本を手にその時を迎えたい。

2021/02/21