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内容説明
日本帝国主義下の旧満洲―過酷な環境下でペストに苦しむ患者の救済と感染経路の解明に挑んだ医師・加藤正司の事績を辿る。
目次
第1章 満洲ペストは冬、どこに潜むのか―加藤正司の事績を捉え直す
第2章 ペスト防疫の基本理念―国家や民族を超えた仁術
第3章 ペスト解明を成功に導いた人間力の結実―敗戦と加藤の願い
第4章 難民救済に散る―殉難散華
第5章 ペスト防疫所の現代的評価―人民政府要人との交流
第6章 ペストを越えて語り継ぐ
最終章(結びに代えて)
著者等紹介
加藤紘捷[カトウヒロカツ]
1943年長春生まれ。早稲田大学法学部及び同大学院修士課程修了。英国Exeter大学大学院博士課程修了、法学博士(PhD.in Law)、ロンドン大学高等法律研究所客員研究員。駿河台大学法学部教授を経て、日本大学法学部教授、比較法学会理事会監事を歴任。駿河台大名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
104
大日本帝国は国民に夢を与えられない国だった。政治も経済も行き詰まった果てに満洲開拓という夢にすがりついたが、実態は国内で食べさせられない日本人をペストが蔓延する植民地へ送り込む悪夢の棄民政策でしかなかった。満洲国は傀儡国家でないと証明するため、多くの医師が国策としてのペスト防疫に従事させられた。そのひとり加藤正司は俗説に反してペスト菌がネズミで伝播することを発見したが、その業績は敗戦にのまれ無念の死を遂げたのだ。妻子の執念で発掘された論文や報告書は、戦争と政治に翻弄された知識人の誠実な生き様を伝えてくる。2023/06/19