内容説明
きょうだいで大笑いしたこと。入院、いじめ、札幌旅行。祖母の植木とリステリン。子どもたちとの愉快な日々。クーポン、生協、ねこ先輩。とりとめなくてくだらない、だからかけがえない記憶を天性の観察眼と感性で鮮やかに大胆に紡ぎ出す。日記文学の新鋭として各界が注目する著者、初の本格エッセイ集。
目次
朝霧装飾
めがねの道
ものが水に溶けるとはどのようになることか
風船のまち
生協のカタログだけがおもしろい
新宿郵便局留
リステリンの泉
抱っこして行かれますか
わたしたちのパンプキン
変だと思った俺やお母さんの目が未熟だったのかもしれない
ねこからとても遠い
せかいの恋人たち
劇薬としての音楽
和菓子を売っていまして
のどのたこ取り
まさか世界がひとつとは
8人、いまこの瞬間
これほど恋らしい2000円
シングルレバー混合栓
この世のすべては集めなかった〔ほか〕
著者等紹介
古賀及子[コガチカコ]
ライター、エッセイスト。1979年東京都生まれ。2018年よりはてなブログ、noteで日記の公開をはじめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
64
前作の日記とは違って、すべてが踊っているわけではありませんでした。ただ、このエッセイを読んでいて、ふと向田邦子さんを思い出していました。長島有さんも解説で、名エッセイストに感じる文章があると書かれています。どこか懐かしいような感覚と今の時代ならではの空気を感じます。古賀さんの作品が大好きになりました。2024/02/29
ぶんこ
40
エッセイストだからなのか、小さい頃のことをよく覚えているのに驚きました。最初の方はお子さんのことが書かれていて、よいお母さんと微笑ましかったのですが、独身時代では仰天するような記述もあって、違和感を感じる。同類とはいえないと思ってからは、読むスピードが遅くなってしまいました。結果、途中で離脱。皆さんの感想を拝見すると、素晴らしいエッセイとわかるのですが、私には合いませんでした。2024/06/22
凸凹パレード
13
「当時、私はだれかと恋人として関係を約束することについてまるで誤解していた。平たくいうと、恋人同士が性的な対象をその相手ひとりに限定するものだと、知らなかった。私はこのデートの数か月前、恋人以外の男性と関係して毛じらみをもらい、その毛じらみを恋人にうつしていた」えっえっ⁈びっくり文章も飛び出るが、なかなかどうしてのエッセイもありやはりおもしろい。2024/08/06
あんず
11
出来事が主で、感情にのせて書かれている感じはなくて、読んでいてとても気が楽だった。静かな映画館で映画を見ているような感覚だった。古賀さんの本は日記本を先に読んでいたので、エッセイになると古賀さんはこんな風に文章を書くのか、と新鮮だったし、文章がものすごく上手いなと思った。物事に対する視点のズーム調整が上手で、拡大してみたり、遠くから見てみたりと色んな方向から見たことを自分の言葉で書いていてすごく羨ましくなった。これからも私は古賀さんの新刊を楽しみに日々を過ごすと思う。2024/11/30
うちこ
10
ねえねえすごい人を見つけちゃった、これってわたしのあの時のアレと同じよと、その黒歴史を知る友人にいますぐメッセージを送りたくなる。電話をかけたい。 中年になると、学生時代の友人と再会の縁に恵まれることがあります。そんな貴重な機会に分別くさい大人のふりをしたらすべてが台無しになってしまうから、鎧をちゃんと脱いでおきたい。そういうときに、この本が効きそう。 頭が優勢にも胸が優勢にもなれない不甲斐なさ。あらゆることが、こういうことの連続で進んでいってしまう。そのダサさを他人と共有できることこそが人生の楽しみだ!2024/08/29