内容説明
明治維新に始まる近代日本を考える際、戦後の歴史学において主流であったのは政治史・経済史の分野であった。しかし一九九〇年代以降、宗教や文化の問題が重要な研究領域として浮上し始めた。本巻ではその成果を総括しながら、同時に現在も刷新されつつある問題意識や研究方法をふまえ、「美術」「宗教」などの近代的な概念や文明開化とメディアの形成、国家神道、天皇制、仏教・キリスト教の社会への受容、古物から文化財への展開、といったテーマから、宗教・文化面における明治維新が持った意味を考える。
目次
総論 明治維新と宗教・文化
1 「古物(古器旧物)」から「文化財」へ
2 新聞と輿論の形成
3 歴史画の成立
4 国家神道の形成と靖国神社・軍人勅諭―皇道思想と天皇崇敬の担い手としての軍隊
5 近代の宮中儀礼―天皇に求められた政治
6 公教育とキリスト教界―官立学校・府県教育にみるキリスト教許容のかたち
7 維新期の東西本願寺をめぐって