内容説明
北海道で愛される街角の喫茶店。
目次
パーラーサトウ―ダンスホールの帰りは喫茶店
喫茶かとれあ―ここは、昔からみんなの居場所
カフェ・レスト田園―手入れは楽な方がいいでしょ
喫茶エルバ―なにかの始まりの、夜明けのような時代だったね
喫茶休養林―木はいいよぉ、艶が出てくるんだから
ドリーム―これ、モデルは私
珈琲舘滴―その時決めたの もう絶対、何ひとつ手放さない
珈琲館バロン―きっと、私たちも少しは誰かのお役に立ってんだね
喫茶コロンビア―うちは2時間いようと5時間いようと、いっこうにかまわないよ
ルビアン―41年経ってもわからないですよ、コーヒーは
貞廣―骨董品だらけかといって、金目のものは何もありませんが
コーヒーとケーキの店かざぐるま―お客さんが風で、私がかざぐるま
喫茶シルク―テントが骨組みだけになったってお店は続けられる
喫茶リリー―休まないってことは他のことを知らないんです
喫茶コバルト―友人の誘いに、ひとくちのってやったって感じですよ
のらくろ喫茶店―のらくろ喫茶店っていう本があるでしょ その作品が発表される前に店を始めたんです
純喫茶わらび―鬼のようなことを言うかもしれないけどこの人から仕事を取ったらダメになると思ったの
著者等紹介
酒井康行[サカイヤスユキ]
1987年、北海道函館市生まれの会社員。札幌市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
36
2020年刊。Ⅰの関西に続き、IIは北海道。景気の浮き沈み激しい土地のためかインテリアが冒険的で、店それぞれに時代が封じ込められている。お馴染みの厚いガラス扉や整然と並ぶソファーの他、幾何学的で凝ったシャンデリア、窓や仕切りの斬新なデザイン。ページを捲る毎に現れる面白い、或いは美しい壁と照明。お客を楽しませる工夫が至る所にある。あれこれ言っているが、私はただ懐かしさに溺れているのだ。もう面影すら定かでない大人たちが奢ってくれたアイスクリームは素敵に甘かった。本書は淡々としながら暖かく、とても切なくなった。2024/10/13
あじ
30
純正レトロでもニューレトロでもなく“オールド”と呼ぶのが相応しい。北海道に点在する喫茶を厳選取材した書籍。実際に足を運んだ事のある喫茶が多く、その独創的空間に身を置いた時間を回想した。好景気の時代を経て現在に至るまでの経歴を丁寧に聞き取り、文字に起こした筆者の想いは物好きにとどまらない。帯広「のらくろ」にはあの日立ち寄るべきだった、、。札幌「わらび」は間に合わなかった、、。私の【喫茶巡礼】はまだまだ続く。◆大福書林からの刊行が嬉しい2020/12/04
yyrn
24
喫茶店に初めて入ったのは小学5年生ごろ。叔母(といっても20代半ば)に映画に連れて行ってもらった帰りにクリームソーダをごちそうになった地階の大きな店で、赤のチェック柄を基調とした内装やクリームソーダの鮮やかな緑色を今でも覚えている。大人の世界を垣間見た気分だったんだと思うw。▼そんな日本経済がぐんぐん成長していた時代に開店した北海道内各地の老舗の喫茶17店舗を紹介している本。当時の流行りが存分に感じられる店内は超豪華だったり、現在では場末感が漂うものも見られるが、いやいやその味わいは捨てがたい。2022/07/24
チョビ
4
北海道のサラリーマンがコツコツ道内の喫茶店に通い、その取材結果をまとめたもの。喫茶店とは道民にとってはどんなものなのか?それでも年々減っていくその世界は、インテリア込みで喫茶店よりカフェの方が好きな自分としてはよくわかる。でもカフェでも喫茶店的親密さはできると思うんですよね。喫茶店とカフェ、何が違うんだろう?2020/12/14
オールド・ボリシェビク
2
札幌在住の若きサラリーマンが道内の喫茶店をこつこつと取材しました。熱がこもった一冊に仕上がりました。どのお店も、経営者はご高齢です。されど、チェーンのカフェにはない、物語がそこにはあります。2021/02/17